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クリスマスイブは笑顔で

クリスマスを楽しみにすることもなくなり、ひとりで外食するようになって久しい。
子供が小さい頃はなんとか欲しいものを聞き出してトイザらスに走りプレゼントを用意したものだ。

クリスマスの朝に枕元のプレゼントを抱えて「サンタさんが来た!」って満面の笑顔で喜ぶ姿を思い出すだけで笑みが溢れてしまう。
今や、あーとかウーとか「金」しか言わなくなったけど、あのプライスレスな笑顔で一生分の親孝行はしてもらったのかもしれない。

クリスマスと言えばケーキの思い出。

ひととおりのクリスマス料理とケーキを食べた後に必ず子供を連れて車で出かけた。

目星を付けておいた古い洋菓子店に向かうのだ。
老夫婦が営んでいる小さなお店に20時頃に入ると「いらっしゃい」とお婆さんが笑顔で迎えてくれた。

すでにお腹いっぱいとはいえケーキを目にすればショーケースに釘付けになるのが子供ってものだ。時代遅れともいえるオーソドックスなクリスマスケーキは子供達に届くこともなく売れ残っている。

どれがいい?と聞くと一番大きいチョコレートケーキを指差した。「こんな大きいの食べられるかなぁ?」とお爺さんも笑顔で応じてくる。老夫婦はとても嬉しそうだ。

昔から子供の笑顔のためにクリスマスケーキを作ってきたはずだ。時代遅れとはいえ売れ残るのは寂しいことだろう。

だから、そう長くは続かなそうな古い小さな店を探しては子供を連れて行くことにしていた。自己満足かもしれないが「今日はクリスマスだ、皆が幸せであれば良い」と笑顔のお裾分けを毎年していたのだ。

だいたいの店はその翌年か数年で閉店した。
息子の笑顔を憶えてくれていれば良いなと、この季節になると思う。

クリスマスってのはセンチメンタルな気分になるからいけないな。まぁ、そんな思い出に浸りながらも松屋でビーフシチューをひとりで食べてきたわけだが…。

さっき家に着く手前のセブンイレブンでサンタの格好した店員が寒そうにケーキを売っていた。
話しかけるとスリランカから来たとのこと。「暖かい国から来たから寒いでしょ」って聞いたら「うん、さむいのニガテ」「でも、きょうはおきゃくさんイッパイだからうれしいよ」と笑顔で言った。

「そうか…忙しいのは嬉しいか」と胸にくるものがあり、チョコレートケーキをひとつ買った。宗教が違うだろうから「ありがとう、頑張ってね」と伝える。

ありがとうと手を振った彼の笑顔もまたプライスレスだった。僕はクリスマスのこの幸せな感じが大好きだ。

クリスマスは笑顔で

もし、いま幸せなら他の人にもそれを分けてあげよう。

メリークリスマス🎁



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