自衛隊は本当に安定?
自衛隊を退職した自衛官に対して行ったアンケートがある。「自衛隊を辞めて後悔しているかという問いに対して、87%の人が「後悔していない」と回答した。残り13%は「分からない」と回答しています。
自衛隊生活で得られるメリットといえば安定性、成果をそこまで求められない。年に2回、比較的長い長期休暇があるという点だろう。
このメリットをを捨てて一般社会で挑戦している人のうち、やっぱり自衛隊の方が良かったと思う人が全くいないということは驚異的です。
なぜ安定な生活では満足しないのでしょうか。
「マズロー欲求階層」で考えると、安全欲求は自己実現欲求、承認欲求、社会的欲求に次いで4番目の欲求です。
4番目の欲求が満たされたとはいえ、自己実現や承認欲求や社会的欲求を諦めた上での安定なると幸せではないのも納得がいきます。
自衛隊では自己実現は難しいのでしょうか?
自衛隊に任官するとあるタイミングで職種を付与させます。事前に希望調査はありますが、基本は適正と人数枠の兼ね合いで振り分けられます。
私はパイロットを希望していましたが、幹部候補生学校卒業1週間前くらいに戦闘機を管制する側の兵器管制官の職種を付与されました。
この時点で自衛隊内における私の自己実現は終了しました。11年前のことです。
それでも、与えられた職種で一人前になろうと(承認欲求を満たすため)、組織内の自分の位置を確立(社会的欲求を満たす)するために努力してきました。
その結果、特別な経験も多くすることができましたし充実感も味わってきました。
様々な人に自衛隊を辞めた理由をあれこれ言ってきましたが、実際の理由は単純で、承認欲求が満たされた状態が長く続き退屈になったから、自己実現欲求を満たすために組織から出る必要があったから、ただそれだけです。
話を戻すと、自衛隊を辞めて後悔している人がいないということは、自衛隊を辞めて自己実現はおろか不安定になってしまったという人がいないということになります。
となると、自衛隊を続ける理由である「安定しているから」が通用しなくなるということになります。
私も外の世界に出て気付いたのは、自衛隊くらい稼ごうと思えばいくらでも方法はあるということです。
そして、自衛隊という人生は割と早めに終わりが来ます。なぜなら定年年齢が54~57歳だからです。
平均寿命は年々伸びています。自衛隊の世界の中だけで生涯を終えることは現実的ではないです。
先日も1佐の方と話した時に、「アッシュが羨ましいよ。俺も前に辞めようとしたけど、家族の猛反対を受けて結局今まで続けてるよ。」と言われました。
それを聞いて私は正直こう思いました。
「家族を納得させる説得材料を準備できなかった人だから、そもそも本気度が足りないんだろうな。自分の人生に対して無責任で、変えられない理由も家族に転換している。こういう人が自衛隊にいて国や4万人の航空自衛隊組織を変えようという要職に居るから自衛隊は変わらないんだな。身近な家族の説得もできない人はもっと大きなものを変えられるわけがない。辞めて良かった。」と。
満員電車で通勤することに愚痴をこぼす人がいます。
私はいつも、あなたも満員を構成している一部であることを自覚した方がいいと思いながら話を聞き流しています。
自衛隊の不満を言う自衛官は山ほどいます。言っている彼らも、そのどうしようもない自衛隊を構成している一部であるということを自覚した方がいいと思って聞き流しています。
今は、そのような話に耳を貸す必要はありません。
これが、私が自衛隊を辞めて良かったと思う理由です。
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