BPSDを強めているのは疼痛

ロンドン大学のSampson氏は、急性期総合病院に入院中の認知症患者を対象とした研究において、疼痛がBPSDと密接に関連しており、疼痛管理の改善が症状を減少させる要因であることを報告しています。
とくに疼痛は「不安」や「攻撃性」との関連が強かったとしており、そのような症状がみられる患者に対しては、細やかな疼痛コントロールが重要となってくる可能性が示唆しております。
実際に、私が勤めているデイサービスでも、認知症の患者が突然左足に強い疼痛を訴えるようになり、それから周りの物品に執着したり、自分のカバンや鍵などの場所を何度も職員に尋ねるようになるなど不穏な状態に陥ることが多くみられるようになりました。疼痛が少し改善されると状態が落ち着かれることが多くみられました。
前述したように、BPSDには身体的および環境的な要因が関与しています。症状を軽減させるためには、認知症患者に対するケアの質を向上させていくことが必要になります。
そのためにも、BPSDがどのような症状であり、どういった状況や環境が悪化させる原因になるかを認知症患者に携わる職員がまずは理解していくことが大事だと考えます。

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