7/11 ニュースなスペイン語 MENA(2):身寄りのない外国人未成年者(2)
昨日の続報。
カナリア諸島州では、ここ数年で、移民(migrantes)が急増したことに伴い、MENA(menores extranjeros no acompañados)も激増し、施設での収容が困難になっている現状を受け、政府与党は他の自治州でもMENAを受け入れるように各自治州や野党に呼びかけてきたが、足並みが揃わない――。
そんな中、これまでカナリアス以外の自治州でのMENAの受け入れを渋ってきた国民党(PP)が、政府に歩み寄りの姿勢を見せた一方、そんな国民党のヒヨリを、共闘パートナーである極右政党ボックス(Vox)は猛批判――。
国・ボ両党の共闘体制で治めている自治州での関係(pacto)を解消するとボックスが警告した――。
昨日の小欄をまとめるとザッとこんな感じ。
で、今回は、国民党党首アルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)が、同党の影響力がある自治州で400人のMENAを受け入れる(acogerá)用意があると正式に表明したというお話。
フェイホは「我々は義務を果たし、受け入れに連帯し続けるつもりだ(Vamos a cumplir con nuestras obligaciones, van a seguir siendo solidarias)」と述べ、5日の小欄でも触れた政府方針「強制的連帯(solidaridad obligatoria)」に、表現はやや違うものの、事実上、応じた形。
ただ、政府与党には、問題解決のための財政援助(ayuda financiera)を求めた。曰く、
もし自治州が、受け入れのための十分な施設がないために、これ以上、MENAを受け入れられないならば、政府は新たな施設を設置し、その運営のサポートをせよ(habilite instalaciones y gestione su asistencia cuando ya no se pueda acoger más porque no haya instalaciones disponibles)。
政府としてもこの要求は飲まざるを得ないだろう。
そして、フェイホはカナリア諸島州に移民が押し寄せる現状を、政府の「移民についての、度重なる無策(una ausencia reiterada de política migratoria)」に原因があると断じた。
国民党に対して不満を募らせるボックスに対しては、「ボックスの運営する自治州でも、我々は約1800人のMENAを保護してきた(en las propias comunidades que ellos están gestionando, atendemos en este momento a unos 1.800 menores)」とした上で、「自らの義務を果たすのに、よそから脅しを受けるのはおかしい(Entiendo que no se puede amenazar a nadie por cumplir con su deber)」と述べ、ボックスとはたもとを分かつ格好となりそう。
政府は日頃から国民党に、ボックスとの共闘を終わらせ(rompa sus pactos con Vox)」、政府との関係を強化(cerrar pacto de Estado)しつつ、MENAの受け入れのための法改正に協力(dar su apoyo a la reforma legal para el reparto)するよう求めてきた経緯があるので、フェイホは政府の要請を大幅に受け入れたことになる(なお、まだ、法改正に協力するかは明言していない)。
さて・・・
まさか、国民党とて何の見返りもなしに、これだけ政府に寄り添うことはないだろう。
きっと何らかの下心があるはずだが、まぁ、ヤラナイ善よりヤル偽善ということもあるので、まずはカナリア諸島州の負担軽減とMENAの待遇改善があれば、差し当たりオーケーかもね。
写真は移民たちが使う小型船(cayuco;patera)。
今年に入って7月4日までに、2万4898人の移民が入ってきているという。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20240710/feijoo-comunidades-pp-acogeran-menores-distribucion-gobierno-encarga/16180967.shtml