見出し画像

11/15 ニュースなスペイン語 Abrazo de unidad:団結の抱擁

是非、皆さんにはバレンシアの叫びに耳を傾けて頂きたい。そして、今、我々に求められていることをバレンシアの人々のためにして頂きたい。それは難しいことではなく、今の政党間のこの対立を団結によって変えることなのです。皆さんがどう思おうと、私にはひとつ断言できることがある。それは、「世界で最も美しい地」を復興するために、必ず、バレンシアに戻ってみせるということだ(Espero que se sumen al grito de Valencia y le demos lo que nos pide, algo tan sencillo como cambiar la confrontación por la unión. Señorías, hagan lo que hagan, lo que sí que sé es que yo me vuelvo otra vez a Valencia para reconstruir la millor terreta del món)――。

13日に開かれた上院議会(Senado)で、この度の寒冷低気圧(DANA)で甚大な被害を受けたバレンシア州のパテルナ市長フアン・アントニオ・サグレド(Juan Antonio Sagredo)はこう述べて、演説を終えた。

なお、「世界で最も美しい地」だけはバレンシア州で話されているカタルーニャ語(のバレンシア方言)で語られていて、本来は同州のアリカンテ県を指す表現のようだが、ここでは、もちろん、被災した全ての地区のことを言っているのだろう。

サグレドは時より声をつまらせ(con la voz quebrada)、手には被害の大きかったパイポルタ市(Paiporta)の泥の付いたバレンシア州の旗(una bandera valenciana manchada con barro de Paiporta en las manos)を持ち、団結を訴えた。

サグレドの所属するスペイン社会労働党(PSOE)の議員たちは皆、立ち上がり彼の演説に拍手を送った。

サグレドに続き、議長から指名を受け、代表質問に立とうと壇上に向かった(que debía subir a la tribuna para iniciar la réplica)国民党(PP)議員ヘラルド・カンプス・デベサ(Gerardo Camps Devesa)は何故か発言席をスッと通り過ぎた。

すると、カンプスはサグレドの元に駆け寄ると、突如、彼を抱きしめたのだった(se ha acercado a su escaño para abrazarle)。

一部始終を収めた動画がある。

https://cadenaser.com/nacional/2024/11/13/el-emotivo-abrazo-entre-un-senador-del-pp-y-otro-del-psoe-por-la-tragedia-de-la-dana-debemos-cambiar-la-confrontacion-por-la-union-cadena-ser/?outputType=amp

今、国会では、バレンシア州を襲った寒冷低気圧を巡って、その事前・事後の対応に関する非難の応酬(reproches por la gestión de la DANA)が続くが、被災地からの切実な声とこれに応じた団結の抱擁に、この時ばかりは一時休戦、議場全体は拍手の渦に包まれた。

記事は

大惨事の後に、政治的な戦犯を探し出すことに躍起になっている国会議員たちは互いに批判と非難を繰り返していたが、この時は団結がキラリと光った(Ha sido un destello de unidad en una jornada parlamentaria marcada por las críticas y las recriminaciones mutuas entre los grupos parlamentarios, enzarzados en la búsqueda de culpables políticos tras la tragedia)

と抱擁の瞬間を報じた。

壇上に立ったカンプスは必要な物資を全て(todos los recursos necesarios)被災地に回す「バレンシア復興計画案(Plan Valencia)」の承認を呼びかけたが、その際、来年度の国会予算案への協力を切り離すよう求めた(sin vincular las ayudas a la aprobación de los presupuestos del Estado para 2025)。

その真意は各党のエゴによる交換条件を付けないで、バレンシア復興のために一丸となることにある。

なぜなら、被災地で苦しむバレンシアの人々を人質にとって(utilizando a los valencianos como escudo)、党の主張をゴリ押しするのは「脅迫(extorsión)」となる、というのがカンプスの言い分。

良く言った!あんたの抱擁に偽りはなかったと心で叫んでみる。

オジサンである小生は、何故か、今回に限らず、オジサン同士の抱擁にだけウルっとくる性癖がある(仮にそれが単なる政治的なパフォーマンスだったとしても)。

最近やたら涙腺のパッキンが緩くなっているが、動画を見て決壊してしまった。

疲れてるのかなぁ……。

写真は各紙が報じた感動的な抱擁(emotivo abrazo)を交わしたサグレド(奥)とカンプス。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20241113/abrazo-unidad-dos-senadores-pp-psoe-para-recuperar-confianza-sociedad-debemos-estar-unidos/16329754.shtml