10/15 ニュースなスペイン語 Invención sin pruebas:証拠なき捏造
そもそも、証拠があるものは捏造じゃないので、意味が余剰的なんだけど…。
つまるところ、フェイクニュースのお話。
ウォロディミル・ゼレンスキーウクライナ大統領(Volodimir Zelenski)婦人(primera dama)、オレナ・ゼレンスカ(Olena Zelenska(写真))がニューヨークの宝石店(tienda de joyas)で100万ドル(約1億5000万円)以上、浪費した(se gastó)――。
こんな根も葉もない噂がネット上を10月初旬あたりに駆け回ったという。
出元はナイジェリアのサイトのようだ。
問題の写真がこれだ。
どうやら、この写真は、夫人が宝石を買い漁る旅に出ていると言うためのものらしい。多分、左端の男性と女性が、宝石店カルティエの関係者か。
500回以上シェアされ、4000件以上の「良いね(me gusta)」の反応があったという。
ゼレンスキーの妻は、夫が資金援助を求めている間、ニューヨークのカルティエで100万ドル以上、使った(La mujer de Zelensky gastó más de 1 millón de dólares en la joyería Cartier, en New York, mientras su marido pedía más dinero)。
こんな説明が付いていたという。
こうした捏造の根拠となっているのは、ニューヨークのカルティエが発行したとされる請求書(factura)。
日付は右上にあり、9月22日と読める。
が、この日、ゼレンスキー夫妻はアメリカにはおらず、カナダにいたというのだから、根拠としては、まぁ、何とも、お粗末。
とは言え、この請求書自体が捏造となると、また、話は全然変わってくるのだが、ニューズウィーク誌(Newsweek)は以下のように述べている。
こうした決めつけは作り物(la afirmación es ficticia)
であり、しかも
ゼレンスカ夫人がショッピングのための旅行をしたという情報はないし、今出回っている以外の写真(補足:上の写真)もない。また、夫人がカルティエを訪れたという証拠もない(no había informes de un viaje de compras ni ninguna otra foto o evidencia de que ella visitara Cartier)。
というのだから、まさにナイナイ尽くし。
天下のニューズウィークが報じてる方を信じるのが、まぁ、普通の感覚。
実は、ゼレンスキー夫妻はこうしたフェイクニュースの標的(objeto de contenidos desinformativos)になりやすく、昨年3月には、ふたりが戦時中でありながらデュエットで歌っている動画が拡散したが、もちろん、こちらもガセ(bulo)。
幸い、小生の周りにはこういうフェイク好きがいないため、変な情報戦に巻き込まれることはない。だから、小欄で取り上げたカルティエ騒動も、そして、デュエット動画も、知らなかった。
この手のフェイクは、知らなくても何にも困らないニュースの代表みたいなもの。
写真はセレンスカ夫人。
今回のフェイクには、夫人がカルティエの女性従業員をひとりクビに追い込んだ(Zelenska hizo que despidieran a una de las empleadas de ese establecimiento)という小フェイクも付いている。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20231011/no-hay-pruebas-zelenska-gastara-millon-joyas/2458137.shtml