7/31 ニュースなスペイン語 Begoña Gómez(2):ベゴーニャ・ゴメス(2)
昨日の続報。
ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相の妻、ベゴーニャ・ゴメス(Begoña Gómez)が関与したのではないかと疑惑がもたれているいくつかの事案について、サンチェスは夫として(en calidad de marido)、証言することを求められたーー。
そこで、担当判事であるフアン・カルロス・ペイナド(Juan Carlos Peinado)が昨日、サンチェスから直接、証言を得るべく、首相官邸(La Moncloa)に出向いたーー。
というのが、昨日までの流れ。
まず、サンチェスは証言しない権利を行使した(Sánchez se ha acogido a su derecho a no declarar)。
判事自ら、官邸にまで赴いた割に、肩透かしな対応だけど、証言しない権利(多分、広義の黙秘権みたいなものかなぁ・・・)は合法的な自己防衛のひとつなので、非難されることもないだろうし、まぁ、素人でもある程度、予想できたこと。
しかし、全く(素人が)想像できなかったのは、サンチェスが判事であるペイナドを「法曹倫理義務違反の罪(仮訳)(delito de prevaricación)」で訴え出た(ha presentado una querella)という点。
まず、「prevaricación」という語が、中々、訳しづらく、「背任」とか「背信」、「義務違反」など意味があるが、とりあえず、上の訳にしておいたものの、もしかしたら、後に別の訳にするかもしれない。
さて、正確に言うと、ペイナドを起訴したのは国政弁護委員会(仮訳)(la Abogacía General del Estado)という政府機関。
担当判事を訴え出たその第1の根拠は、ペイナドによる「線引きがあまりにも抽象的である(delimitación tan abstracta)」ということ。
そして、第2の根拠は、ペイナドによって出された「いくつかの判決が公平性を欠く(injusticia de varias resoluciones adoptadas)」というもの。
国政弁護委員会は、裁判官の憶測(conjetura)によって、首相省の名誉が著しく貶められた(deprestigia la Presidencia del Gobierno)とし、裁判官が首相を「根拠のない疑いの目(un descrédito gratuito)」で見ていると見解を述べた。
そして、同委員会は、今回の裁判官に対する訴訟は「司法に対する攻撃(no es un ataque al Poder Judicial)」ではなく、「むしろ、司法を信頼しているとの意思表明(Al contrario, es expresión en la confianza en el Poder Judicialesta querella)」と位置付けた。
このような訴訟こそが、司法権を行使するものが公平性も法的根拠を一切持たない攻撃を仕掛けてきた際に、唯一残された手段(el único medio de defensa que queda frente a un ataque absolutamente carente de justificación o motivación por parte de quien ejerce funciones jurisdiccionales)として、暗に、担当判事であるペイナドを批判した。
さてさて、泥沼と化した、サンチェス対ペイナド、否、行政権と司法権の全面対決は、パリ五輪より見ごたえがあるかも・・・(失礼)。
写真は首相官邸に到着したペイナド。