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10/4 ニュースなスペイン語 Generosidad:寛容

今月2日と3日に開かれた助言聴取会(ronda de consultas)を経て、フェリペ6世(Felipe VI)は、大方の予想通り、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)を、新たな首相候補として任命(designado)した。

まぁ、これは、まったく驚かない。

ただ、首相就任(investidura)のために下院(Congreso de los Diputados)で必要な支持票(apoyo)の行方を握るカタルーニャ州の地方政党とサンチェスとの距離感が微妙に変わったところが、政治素人の小生には意外だった。

サンチェスは、まず、カタルーニャの政治問題を解決するためには(resolver el problema político de Cataluña)、寛容さが必要だとしながらも、いわゆる、カタルーニャ独立派らの「恩赦(amnistía)」への直接的な言及(una alusión directa)を避けた。

一方、サンチェスはカタルーニャの将来を自ら決定するための住民投票については、明確に否定した(sí ha rechazado expresamente un referéndum de autodeterminación en Cataluña)。

スペイン社会労働党(PSOE)とサンチェスは、カタルーニャ独立派のジュンツ(Junts)と共和主義左翼(ERC)の2党からの支持を取り付けるために、現在告訴されている独立派の恩赦と住民投票を、ちらつかせてきた。

そのトーンを少しずつ変えてゆくところあたりに、サンチェスのしたたかさがある。

9月29日の記事でも紹介したように、ジュンツとERCは、恩赦と住民投票の実行性を保証しないかぎり、サンチェスの支持はしないと公言しているので、まさか、サンチェスも無策のまま、上のような表明しないはずだ。

サンチェスは

私は一刻も早く首相の職に就きたいところだ。これからは激務になる。各党との交渉は簡単なものではなく、複雑なものになるだろう(Me gustaría que fuera cuanto antes. Vamos a trabajar intensamente, confío. Las negociaciones no van a ser fáciles, van a ser complejas)

と語っている。ただ、具体的な施政方針や投票などの日程については言及しなかった。支持基盤を固めるには時間が必要なのだろう。

で、サンチェスは、明日からにでも(mañans mismo)交渉を始めると意気込んでいるが、「ただし極右以外とだ(menos con la ultraderecha)」と述べ、ボックス(Vox)との交渉を明確に拒絶した。

サンチェスは、国民党(PP)党首のアルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)とも会談する意思(intención)を示したが、もちろん、これはフェイホからの「支持を取り付けるためのものではない(no será para recabar su apoyo)」としている。

政治は押して引いての駆け引きの世界だ。

ウソにならない程度のハッタリを仕掛け、相手の出方をみる。今まで言ってきたことを微妙に変えて、相手の言いなりにならないよう予防線を張る。

こういうのが苦手な小生にはドギマギして落ち着かない日々が続きそう。

写真はフェリペ6世(左)とサンチェス。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20231003/sanchez-evita-palabra-amnistia-habla-generosidad-cataluna/2457395.shtml