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5/3 ニュースなスペイン語 Asistencia sin invitación:招待状なき参列

1808年5月2日、フランス軍のマドリード侵攻に対して、民衆が蜂起(levantamiento)したことを記念し、毎年、同地では様々な祝日のイベントが開催される。

そして、昨日、催された式典をめぐり、マドリード州と中央政府(Gobierno)との間で緊張が高まっている(eleva la tensión)。

マドリード州と中央政府とのゴタゴタは、もちろん、今に始まったことではない。

マドリード州知事(presidenta de la comunidad)であるイサベル・ディアス・アジュソ(Isabel Díaz Ayuso)率いる執行部(Ejectivo)は、今年の式典に首相であるペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)に対して、招待状を出さなかった。

これについては特に問題はなかった。

その代わりに、政府報道官(portavoz)イサベル・ロドリゲス(Isabel Rodríguez)を招待することにしたのだが、結局、ロドリゲスは個人的な事情で(por motivos personales)、出席が叶わなかった。

これも、特段、問題になることはなかった。

ところが……。

内閣省大臣(ministro de la Presidencia)であるフェリス・ボラーニョス(Félix Bolaños(写真))が、正式に招待を受けた防衛大臣(ministra de Defensa)マルガリータ・ロブレス(Margarita Robles)の付添人として(calidad de acompañante)、式典に参列したのである。

コレガマズカッタ……。

中央政府の、しかも、大臣たる人物が、何の予告もなく自治州の公式行事に参列することは、政治の素人が想像する以上に、マズイ。

まず、マドリード州政府は、正式に招待されていないボラーニョスが式典に参列したことを、挑発(provocación)とした。

そして、マドリード市長(alcalde)であるホセ・ルイス・マルティネス・アルメイダ(José Luis Martínez-Almeida)は、ボラーニョスが招待されていないところに、勝手に潜り込んだ(colarse)と批判。

さらに、こうした事態をややこしくしたのが、軍事パレード(desfile cívico-militar)を観覧するための壇上(tribuna)に、招待された人たちが次々と上がってゆく中、ボラーニョスも上がろうとしたところ、主催者のひとりに静止され、結局、ボラーニョスは壇の下からの観覧となった。

 上壇を制されたボラーニョス

壇上には中央政府からの代表、防衛大臣のロブレスがいたことから、閲兵式の開催規程の上では全く問題のない運営(organización perfectamente establecida)とマドリード側は胸を張る。

一方、中央政府からは、アジュソが5月2日の式典を政治対立(una pelea política)の場にしたと批判が出ている。

また、今月末に実施予定の選挙に出馬する候補者からは、アジュソが、何も無いところに、わざわざ、対立の種を探し出そうとしている(artificialidad de Ayuso y de su "búsqueda de conflictos de la nada)との見方も出ている。

渦中のボラーニョスは、

本日5月2日の祭典において、マドリード市民の皆さんにお祝いを申し上げたい(Quiero felicitar a todos los madrileños y madrileñas en este Dos de Mayo)

と述べる一方で、騒動によって、「この祭典を心待ちにしていた人たち(quienes viven cómodos)を失望させてしまったことを申し訳なく思う(lamento decepcionar)」としょんぼり。

選挙に強いアジュソのことだ。

今月末に控えた大規模選挙で、今回の騒動をも巧みに利用するかもしれない。

いずれにせよ、尾を引きそうな招待劇。

写真はフェリス・ボラーニョス。

なお、1808年5月2日のフランス軍の侵攻を描いたのが、フランスコ・ゴヤ(Francisco Goya)の絵画だ。

『1808年5月2日』

そして、この絵とペアとなっているのが、以下の『1808年5月3日』だ。

前日に蜂起した市民たちを、フランス軍兵士らが銃殺している様子を描いたもの。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230502/actos-celebracion-dos-mayo-diaz-ayuso-gobierno-espana/2442948.shtml