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9/17 ニュースなスペイン語:Respirar por ano:肛門で呼吸する

イグノーベル賞(premios Ig Nobel)の受賞者の発表があった。

毎年、小生はこの発表を心待ちにしている。

哺乳類は肛門を通じて腸で呼吸できる(los mamíferos pueden respirar por el ano)――。

これは東京医科歯科大学(Universidad Médica de Tokio)の研究チームが達した結論で、イグノーベルについての今日の記事のタイトルにもなっていて、最初に取り上げられるくらい、スペインではインパクトを与えたみたい。

医科歯科大の研究チームはドジョウ(bertorella;locha)などの魚が、低酸素状態で生き残るために、腸呼吸をするための唯一のメカニズム(mecanismos de respiración intestinal únicos para sobrevivir bajo condiciones de hipoxia)の解明に寄与した。

まぁ、これは日本人の研究なので、ヤ◯ーやグー◯ルのニュースにも出てくる内容なので、ご存知の方も多いはず。

なので、今回は他の発見に注目してみよう。

① 酔っ払ったイモ虫はシラフのイモ虫より進むのが遅い(Los gusanos borrachos son más lentos que los sobrios )――。

結果は想定内だった(los resultados eran de esperar)が、これを証明したのはアムステルダム大学(Universidad de Ámsterdam)の研究チーム。

イモ虫を迷路に入れて、半分はシラフ状態、もう半分は5%のエタノールを嗅がせた状態(someter a varios gusanos a un laberinto, la mitad de ellos sobrios y los otros expuestos a una solución de etanol al 5%)で、それぞれのグループのゴールまでの移動の速度を測定。

シラフグループは酔っ払らいグループより50秒速くゴールしたという(Los primeros llegaron 50 segundos antes)。

なお、研究結果では、酔っ払ったイモ虫たちの壁への激突などのアクシデントについての詳細は明らかにしていない(El estudio no detalla los accidentes del segundo grupo contra las paredes del recorrido)。

むむむ、天下のエル・パイス(El País)の記事だけあって、"ボケ" も格調高い。

② 痛ければ、より良い(Mejor si duele)――。

スペイン語には「チクッとするものはよく効く(lo que pica, cura)」ということわざがあるが、これを証明した研究。

77名の被験者に、治療効果はないが、鼻に痛みを伴う呼吸装置(inhalaciones sin capacidad terapéutica, pero que generaban dolor en la nariz)をつけてもらう。

そして、その半分の被験者には、この呼吸器には治療効果がある(les decían que era un tratamiento)と伝えておく。

すると、副作用としての痛みをより多く感じた被験者は、この疑似治療がより効き目があると思った(A quienes sentían más dolor como efecto secundario, la supuesta terapia les parecía más efectiva)という。

痛い程、良く効く――。ことわざを裏付けた格好(だし、ヒトは何とマゾヒスティックなことか)。

ただ、困ったことに、研究者たちは、患者がより効果を実感できるように、医療に痛みを取り入れたらどうかと言い始めている( Lo peor es que los investigadores proponen incluir estos efectos secundarios en las medicinas para promover una reacción positiva de los pacientes)・・・そうだ。

ウソかマコトか、それともエル・パイスさまの渾身の ボケか・・・。

他にも「ネコを背中に乗せた牛と10秒おきに紙袋を使って驚かせた牛のミルクの生産量の違い(Ordeñar con un gato sobre la vaca y un susto cada 10 segundos)」とか「死んだマスと生きているマスの頭の位置の比較(posiciones de peces vivos con truchas fallecidas)」し、死んだマスの泳ぎ方の研究を明らかにした研究など、魅力的な研究が満載。

とかく、研究には即効性や実用性が求められる昨今だが、こういう笑えるけど、何かを考えさせる成果って、貴重。

今回、紹介しきれなかった研究がまだあるので、興味のある方は以下の記事を参照されたい。

写真はブタ(cerdo)。

ブタも哺乳類だから、肛門から腸呼吸ができる。

そして、人間も、実感はないが、腸呼吸ができるので、呼吸不全の患者への治療に応用が期待されるとのこと。

これは、ボケではなく、マジな話。

ただ、小生の思うイグノーベルの理想は、すぐには役に立たない成果なので、こんなに早く人類のためになるとは、喜ばしいことだけど、何か複雑。

出典
https://elpais.com/ciencia/2024-09-13/mamiferos-que-respiran-por-el-ano-o-gusanos-borrachos-estas-son-las-investigaciones-mas-delirantes-del-ano.html