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12/29 ニュースなスペイン語 Bulos de 2021(1):今年のガセネタ(1)
12月28日はスペインなどでは「無邪気な人たちの日(Día de los Inocentes)」といって、日本で言う「エイプリルフール」に当たる日だ。なので、無邪気なウソなら許されるとされている。
そのため(かどうかは、分からないが・・・・)、スペイン国営放送のHPでは、今年を表わす(representan este año)ガセネタを紹介している。
本記事でも何回か紹介しているが、スペイン国営放送では、ネット上に出回る数多くの記事について、「ガセネタ」、「正しい(verificado)」、「真偽不明(engañoso)」などの検証を行っている。これは不定期に、しかし、断続的に行われている。このコーナーの担当者が選ぶ、今年を代表するガセネタのパタンを2回に分けて紹介しておこう。全部で6パタンあるので、今日は3パタン。
1.選挙関連のガセネタ
5月5日の記事でも紹介したが、5月4日にマドリード州知事選挙の投開票が行われ、イサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)が再選を見事、果たした。「アジューソ旋風(Huracán Ayuso)」なることばが紙面を飾ったように、国民党(PP)の圧勝だった。国政では政権与党のスペイン社会労働党(PSOE)とポデモス党(Podemos)は歴史的な惨敗。ポデモス党の党首、パブロ・イグレシアス(Pablo Iglesias)は政界から身を引いた。
ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)政権は、またしても、目の上のたんこぶ的な存在でもあるアジューソを追い払うことが叶わなかった。
こんな具合に、スペインの国政とマドリード州政の間のバランスが大きく揺らいだ選挙だったわけだが、選挙結果をめぐり多くのガセネタがSNSを駆け巡った。
選挙の不正を訴えるもの(acusación del fraude electoral)は、選挙が行われる度に出てくる(recurrente(=「繰り返しの」という意味))ガセネタだ。中でも、今回、顕著だったのが郵便投票の信頼性(confianza en el voto por correo)に関するものだった。ネット上には「簡単に操作できる(fácilmente manipulable)」といった表現、そして、「八百長」を意味する「pucherazo」とか「tongo」という語などがあふれた。
2.移民関連のガセネタ
5月18日ごろ、SNS上に、スペインの飛び地領であるセウタ州(Ceuta)で、ある火災(incendio)の動画が流れた。同州にあるフアン・モレホン公立学校(Colegio Público Juan Morejón)が、モロッコなどからの移民たち(inmigrantes)によって放火された(quemar)というものだった。近隣住民や同校の関係者などに聞き取りを行い、検証した結果、ガセネタであることが判明した。動画は数年前にフアン・モレホン公立学校で発生した火災を撮影したものだったらしい。移民たちに対するヘイト(odio)が、移民たちを犯罪者に仕立て上げる(criminalizar a los inmigrantes)ようだが、こうした投稿を繰り返す輩の中には、「カネ儲け(mercenario)」のために、こうしたガセネタキャンペーン(campaña)の主催者と契約(contratan)している者もいるという。
3.ワクチン関連のガセネタ
日本では見た記憶がないが、スペインでは、コロナワクチンの接種が始まったころから、以下のような写真がネット上に蔓延した:
これはワクチンを接種した腕に、スプーン(cuchara)やらフォーク(tenedor)がくっ付いたと主張する投稿者たちの画像である。投稿者たちは、「ワクチンには磁場を生成するようなマイクロチップの類が含まれている(la sustancia incluía un microchip que generaba un campo magnético)」と得意満面。国によるマイクロチップ管理の始まり、などといったスパイ映画もびっくりのトンデモ言説まで飛び出した。
検証記事のスタッフたちは、やれ、専門家たち(especialistas)や科学者たち(científicos)に話を聞いたり、はたまた、マジシャンたち(ilusionistas)にも話を聞いたり、大奔走。結局、金属物質(sustancias metálicas)が混入する可能性はゼロではないにしても、意図的に、すべてのワクチンにこうした物質が入ることはないとしている。そして、腕などにくっつくのは、「吸盤効果(efecto ventosa)」というものらしく、マジックなどのトリック(truco)ではお馴染みの手法らしい。
エイプリルフールなどにこういう記事を書くと、「でも、この記事は本当だよ」などと言って閉めるのが定番だが、ここではしません。