1/27 ニュースなスペイン語 Ómicron sigilosa y antivirales:ステルスオミクロン株とコロナ特効薬
日本でも急に話題に上がった「ステルスオミクロン株」だが、スペイン語では「ómicron sigilosa」とか「ómicron furtiva」という。それぞれ、sigiloso/saは「内密の、沈黙の」、furtivo/vaは「ひそかな」を意味する。英語のstealthの訳語としてぴったりだ。詳細はまだ分からないが、オミクロン株の亜種(subvariante)で、感染力が従来のオミクロン株より高いのに、遺伝子検査までしないと、従来との区別がつかないという厄介者。スペインでもすでに数例、検出されている。
こんな具合に、コロナウィルスに振り回されている人間界。そろそろホモサピエンスの英知をもってして、コロナに鉄拳を食らわせたいところだが、なかなか、敵も手ごわい。
ワクチンの陰に隠れて、あまり、話題に上らないが(ha nublado)、コロナの特効薬も頑張ってるので、紹介しておこう。
① レムデシビル(remdesivir)(商品名:ベクルリー( Veklury)/ギリアド社(Gilead))
特効薬の中では、一番の古株(el más veterano)とも言われていて、エボラ出血熱(ébola)のための特効薬として2015年ごろには世に出ていた。
スペインでは、通常、レムデシビルは、12歳以上、体重は40キロ、肺炎(neumonía)を患っていて、ボンベによる補助酸素(oxígeno suplementario)を受けている患者に対して処方されるが、コロナの特効薬としての二次使用(uso secundario)は、「補助金の交付の決定待ち(pendiente de decisión de financiación)」の状態。重症化リスクを約87%軽減するといわれている。
② モルヌピラビル(molnupiravir)(商品名:ラゲブリオ(Lagevrio)/エム・エス・ディー社(MSD))
EU圏内すべてでの承認(autorización)されているわけではないが、補助酸素を用いていないものの、コロナ重症化の恐れのある成人に対して処方される。スペインでは、しかし、その処方は病院にゆだねられていて(su uso debe valorarse por cada hospital )、「個々人によって判断(de forma individualizada)」という状況。
③ ニルマトレビル(nirmatrevir)+リトナビル(ritonavir)(商品名:パックスロビッド(Paxlovid)/ファイザー社(Pfizer))
先日、ペドロ・サンチェス首相(Pedro Sánchez)が、ファイザー社から、約34万4000回分を購入すると表明した特効薬。入院のリスクを約88%にまで引き下げるという。
④ ファビプラビル(favipiravir)(商品名:アビガン(Avigan))/富士フイルム富山化学)
ジャジャーン、日本製である。インフルエンザ(gripe)やエボラ出血熱などに効果があるとされていた特効薬。スペインでは「効果はあまりなし(con menos efectividad)」との評価。
⑤ アプリジン(Aplidin)
こちらはスペイン製の特効薬。約1年前1月28日のnote記事で、アプリジンを取り上げた。
スペインの製薬会社ファーママル( PharmaMar)によって開発され、元々は腫瘍(tumor)に対する薬だった。新型コロナウイルスに対して99%の有効性を示した。この薬はプリチデプシン(plitidepsina)という、海産動物のホヤから抽出された成分をもとに作られている。
久々に、ネットを検索してみると、あれから、いろいろ研究も進んでいるみたいで、1月11日付の「El País」の記事(経済版(El País Economía))には、「オミクロン株について、18%の効果を発する見込み(sube un 18% por la posible eficacia contra ómicron)」とある。とは言え、新聞などで「posible」という形容詞が付く場合、まだ、確証が得られていないことを意味する。①~④と比べるともう少し、という感じか。
写真はギリアド社のレムデシビル(商品名(marca registrada):ベクルリー)。点滴薬(intravenoso)だ。