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5/14 ニュースなスペイン語 Derecho al olvido:忘れられる権利

Derecho de supresión(消去権・削除権)という言い方もある。

自らの個人情報の削除を申請する(solicitando la supresión de sus datos de carácter personal)権利を指す。

ひとたびネット上に出回った情報は消えない。

インターネットは全てを覚えていて、何ひとつ忘れない(Internet recuerda todo y no olvida nada)――。

こんな恐ろしい一節もネットにはあるくらいだ。

従って、小生は、忘れられる権利を、ネットに拡散した、本人の、特に、都合の悪い個人情報を抹消し、ネットから消える権利と理解していたが、今回、スペイン政府が打ち出した権利には、「oncológico(腫瘍の)」という形容詞が付く(derecho al olvido oncológico)。

ひとつガンを経験しただけで、我々患者は、一生、咎められる(Nos castigan toda la vida por haber pasado por un cáncer)――。

ガンサバイバーらの切実な訴えに政府が動いた。

政府は、保険(seguros)やローン(hipotecas)の契約の際、元ガン患者ら(expacientes)が被る差別(duscriminación)を無くすための法改正を進め、6月の施行を目指す。

具体的には、契約の5年前までに治療を終え、その後、再発していない人全員(todas las personas que hayan finalizado un tratamiento oncológico cinco años antes de la fecha de suscripción del contrato, sin recaída posterior)に対して、企業が保険料などを上げる措置を取ることを禁じる。

なかなか、立派な法案だなと感心していたら、まぁ、政治もボランティアじゃないから、見返りなしの、無垢な政策という訳でもないらしい。

今月末の大型選挙に向けた、セビージャでの集会後、スペイン社会労働党(PSOE)党首であり、現首相でもあるペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)が打ち出した施策みたいだから、ガンサバイバーの有権者皆さん、我が党をよろしくね、という、選挙公約の目玉のひとつにしたいらしい。

さらに、EUの中で、この「腫瘍の病歴を削除する権利(derecho al olvido oncológico)」を保障していないのは、スペインをはじめとする3ヶ国だけらしい。

随分、出遅れたなぁ…

EUが定めた期限が2025年(el plazo dado por la UE para ello a sus países miembros es 2025)だというから、まぁ、滑り込みセーフという感じ。

EUは2022年に、ガンとの闘いを強化する(el refuerzo de Europa en la lucha contra el cáncer)ことを承認。

同時に、保険会社や銀行はガン治療を終え10年経過した患者や、18歳以前にガンと診断され5年が経過した患者の病歴を保有してはならない(propuesta de que las aseguradoras y los bancos no tengan en cuenta el historial médico de los afectados por el cáncer diez años después del final de su tratamiento y cinco cuando el diagnóstico se haya realizado antes de los 18 años)との提案も承認されている。

理由・きっかけはともあれ、ガンサバイバーらが過ごしやすい社会になるための政策は、掛け値なしに、拍手!

写真はコラージュ。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230513/gobierno-garantizara-derecho-olvido-oncologico-para-evitar-discriminacion-partir-junio/2445761.shtml など