9/16 ニュースなスペイン語 Expulsión:除籍
スペイン社会労働党(PSOE)は、同党議員で、バスク社会労働党(PSE)の幹事長などを務めた重鎮ニコラス・レドンド(Nucolás Redondo(写真))の除籍を発表した。
ただ、別の記事では「資格停止(suspender de militancia)」ともあるので、もしかしたら、復帰も視野に入れた、一時的な除籍かもしれない(そういう処分があるのか分からないが)。
レドンドは現在、党が画策していると言われている恩赦法(ley de amnistía)に対して疑問を呈すなど、党の運営に批判的な言動を繰り返していた。
当のレドンドは自らの処分をマスメディアを通じて知った(conoció su expulsión por los medios de comunicación)と言うから、まさに青天の霹靂、電撃処分だったようだ。
党関係者(fuentes del PSOE)の話によると、レドンドは、マスコミで党名PSOEの4文字を汚した(menosprecio expresado en medios de comunicación a las siglas del PSOE)との理由で処分されたという。
処分発表を受けて、臨時財務大臣(ministra de Hacienda en funciones)のマリア・ヘスス・モンテロ(María Jesús Montero)はあるインタビューで次のように述べた。
限界というのがある。明確に。誰もが反対意見を述べることはできる。しかし、それは敬意をもってのこと。でも、繰り返し、しかも、公共の場で、無意味な論戦を張って、自らの所属する党への反対票を投じることを表明することとは違う。レドンド氏のケースは疑いようもない(後者の例だ(訳者補足))(Los límites son muy claros. Uno puede expresar con respeto una opinión discrepante, eso es distinto a que una persona de forma reiterada y pública esté expresando una controversia y un voto contrario al propio partido. Y en el caso del señor Redondo no hay duda)
節度をもって反対意見を述べるならまだしも……ということらしい。
モンテロは、今回の処分は、レドンドと同じく恩赦法に不快感(malestar)を表明している元首相フェリペ・ゴンサレス(Felipe González)のような、うるさがたへの警告(un aviso a otros líderes críticos)ではないともした。
あくまでも、除籍は、党員が不適切なことを公言した(un militante de forma pública está expresando un desprecio)際、普通に適用されるメカニズム(mecanismo habitual)であることを強調した。
ところで、敵陣である国民党(PP)の反応が面白い。
党首アルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)は、今回の除籍処分を「残念なこと(ha lamentado)」とした上で、レドンドのことを「誠実で、有能な政治家(un político serio y solvente)」と称賛。
そして、レドンドを「憲法を重んじた一貫した政治信念(coherencia en su defensa del constitucionalismo)」の持ち主とした。
自らの矜持で散ったレドンドだが、政治家としての評価は上がったのかもしれない(党の外で……)。
写真は除籍処分になったニコラス・レドンド。
ちなみに、このレドンドの父親は歴史に残るリーダー(histórico líder)と評される人物で、同じく、ニコラス・レドンドという。
親子が揃って、同じ記事に出てくる時は、除籍処分された方に母方の名字「Terreros」、歴史的リーダーの方には「Urbieta」を付けて区別する。
もしやと思って、今回、除籍になったレドンドの祖父の名前を調べたら、やはり、ニコラス・レドンドだった。この人物の母方の名字は「Blanco」。
他にも、親戚縁者に「ニコラス・レドンド」がいそうだが、キリがないので、この辺でやめておく。
まぁ、戸籍上、区別できるから良いけど、ややこしいなぁ。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20230915/montero-psoe-expulsion-redondo/2456040.shtmlなど