5/10 ニュースな日本語 Kamikaze:カミカセ
7日から9日にかけて、ロシアがウクライナの首都キーウ(Kyiv)に対して、最大規模攻撃(su mayor ataque)を仕掛けたことが、日本やスペインで大きく報じられている。
しかし、ロシアが攻撃に使用した兵器が、世界では「カミカゼドローン(Kamikaze drone)」と呼ばれていることは、あまり、知られていない(のか、小生のアンテナに引っかかっていないだけか…)。
スペイン語では「ze」は「セ」と発音するので、報道では「ドローンカミカセ(drone kamikaze)」と聞こえる。
「カミカセ」はスペイン王立アカデミー(RAE)にも載っている日本語で、「カミカセなパイロットや人物に特有の(Propio de un piloto o de una persona kamikaze)」という意味の形容詞として使うことができる。
では、「カミカセな人物」とは何かというと
自殺の意図、もしくは、自らの生命に危険を脅かしかねない、無謀な行動をする人(Persona que realiza una acción temeraria con propósito suicida o con riesgo de su vida)
を指し「無謀な運転をするドライバー(Un conductor kamikaze)」という用法が上がっている。
今回、参照した記事では「drones kamikaze」のように「kamikaze」が「drones」の数に一致していない表現で統一されている。
これは「kamikaze」が名詞として使われているからで、「coches cama(寝台車)」とか「cartas bomba(爆発装置付きの手紙=手紙型爆弾)」のように、名詞がふたつ連なっているケースと同じ。
スペイン語としては問題ない。ただ、こういう場合、後続の名詞は前の名詞と数の一致はしない。
そして、ググってみると、「drones kamikazes」という、正真正銘の形容詞として使われていている例も多数ヒットする。
なかなか、面白い。
それはさておき…。
今回、ロシアが使用した兵器は、「自爆型ドローン」とも呼ばれていて、爆弾を搭載した機体は標的に体当たりし、大爆発する。
この兵器は安価な割に、相手陣営に大きな打撃を与えられることから、コストパフォーマンスの良いホールセールスーパーになぞらえ、「コストコドローン(Costoco Drone)」とも呼ばれているらしい。
ドローンは無人なので、攻撃する側は、当たり前だが、誰も傷つかないし、誰も死なない。
肉を斬らせて骨を断つなんて発想は、もう、時代遅れ。自分が傷つかないで、相手を叩ければ、そりゃ、その方が断然良いもんね…
もしやと思い、発音はそのままだが、綴りがスペイン語的な「camicace」と検索してみたら、意外と出てくる(が、かなり、怪しいニオイのするサイト。閲覧する際は自己責任で)。
もはや、戦争では「神」だの、「風」だの、そんな神話上のユルい拠り所より、現実的なコスパを重視――。
本当に怖い時代に入った。
写真はウクライナ南部の都市オデッサが爆撃された際の様子。
記事によれば、8日時点で5名の負傷者(heridos)が出ている。