11/20 ニュースなスペイン語 No en mi nombre…:私個人の問題ではなく…
17日の小欄でも紹介したが、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)は前日の投票で、スペイン政府の首相(Presidente del Gobierno)に再任された。
ところが、その翌日からスペイン各地で大規模の抗議運動が展開されている。いや、正確には、10月9日や11月13日の小欄でも触れたように、サンチェス就任前から抗議活動は続いている。
活動はいずれも、サンチェス政権が目論む恩赦(amnistía)に対する抗議だ。
週末、マドリードのシベレス広場(Cibeles)を抗議活動のために訪れた人々が埋め尽くした。
主催者発表で100万人近い参加があったというが、(デモの参加者を少なく見積もりがちな)政府さえも、17万人と発表しているので、かなり大規模な集会となった。
参加者らは口々に
違法な住民投票に関わった者たちの恩赦に反対。カタルーニャの自治決定権にも反対。これは私個人の問題ではない(No en mi nombre: ni amnistía, ni autodeterminación)。
と訴えた(スローガン(lema)は余分な言葉を削ぎ落とされているので、一部補足した)。
もはや、恩赦は「私個人」の理念や偏見を云々している場合ではなく、スペイン全体に関わる問題なのだーー。小生はこんな訴えと理解した。
サンチェスが総書記を務めるスペイン社会労働党(PSOE)のマドリード本部があるフェラス通り(Ferraz)でも約10日以上、恩赦に対する抗議が続いており、シベレスの抗議運動に参加した人の内、約3000人が、フェラス通りに合流したというから、大混乱。
抗議活動には、国民党(PP)とボックス(Vox)の党首ふたりの他、マドリード州知事(presidenta)のイサベル・ディアス・アジュソ(Isabel Díaz Ayuso)やマドリード市長(alcalde)のホセ・ルイス・マルティネス・アルメイダ(Jose Luis Martínez Almeida)らも参加。
アルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)はサンチェス新政権を「欺瞞とウソ(fraude y mentira)」で塗り固められた政府とし、サンチェス自身のことを「スペイン社会を分断する壁を作り(levantar muros en la sociedad española)」、「スペイン国家を貶めた(humillar al país)」張本人と批判した。
一方、社会労働党は国民党とボックスは恩赦を、7月23日の総選挙に敗北したことを認めないための言い訳として使っている(El PSOE dice que el PP y Vox usan la amnistía como excusa porque no aceptan la derrota del 23J)と述べている。
むむむ、本当にそうか?
実際は、選挙に勝ったのは国民党で、負けた方こそ社会労働党だ(その後のグダグダで、国民党からは首相を送り込むことはできなかったが・・・)。
サンチェスと社会労働党は国民の抗議活動を見誤っていないか。何か、大きなうねりが起こっている気がするのだが。
カタルーニャ独立派の2党である共和主義左翼(ERC)とジュンツ(Junts)との約束である恩赦(とこれを認めるための恩赦法の成立)が実現する(かどうかは分からないが、きっと実現させなければならない状況に追い込まれる)時、今以上の抗議活動が起こるはず。
そんな時、「この国の社会の大部分は進歩・革新的な政府を選んだ(la mayoría social de este país ha optado por un Gobierno progresista(社会労働党報道官))」と涼しい顔でいられるかどうか。
サンチェス新政権は早くも訪れた大きな危機にどう立ち向かうか。
写真はデモの様子。