12/26 ニュースなスペイン語 Tercera dosis:3回目の接種
スペインでは70歳以上の高齢者(personas mayores de 70 años)へのブースター接種(dosis de refuerzo)が10月ごろから始まっている。そして、40歳以上の人に対しても12月中旬ごろ(mediado de diciembre)を目処に開始することになっている(が、まだ、始まっていないか・・・・)。
そうした中で、3回目接種をめぐって、SNS上では様々なガセネタ(bulo)が出回っていて、メディアは注意を呼び掛けている。
1.ボリス・ジョンソン、3回目接種疑惑
イギリスの首相(primer ministro británico)、ボリス・ジョンソン(Boris Johnson)が「3回目接種を打ったふりをした(fingió que se ponía la vacuna de refuerzo)」とのメッセージがSNS上には400以上の出回っている。問題の写真がタイトルにあげたものなのだが・・・
看護師の持つ「注射器の先にまだカバーが付いている(El tapón de la jeringuilla sigue puesto)」という。で、看護師がニセの注射(inyección falsa)を左での人差し指で隠しているというのだ。
もっとも、真相はジョンソン首相はブースター接種を受けた(Johnson sí recibió esa dosis)とのこと。このツイートは英語の他、ポルトガル語や韓国語でも出回っているようだ。日本人はこの程度のガセネタには引っかからないと思うが、日本語でのツイートがなくて良かった・・・。
2.バジャドリード市の病院が閉鎖に!?
こんな疑惑もあるようだが、これもガセネタだ。というか、こちらは、ジョンソン首相のケースとは違って、ちょっと微妙。つまり、あながち、100%ガセネタとは言い切れないのである。こういうケースが一番引っかかりやすい。
バジャドリード市はカスティージャ・イ・レオン州の州都。この都市にある、とある病院がやり玉に挙がっているのだが、ここは高齢者施設と通常の病院が合体した施設のようだ。そして、この入居者(residente)の内、98%がすでに3回目の接種を終えていたにもかかわらず、クラスター(brote)が発生して、病院が「閉鎖(clausurado)」に追い込まれたーー。こんなメッセージがSNS上に拡散している。
事の真相はこうだ。
① ただ単に数日間の診療を取りやめただけ(simplemente se cerraron las visitas unos días)。
② ブースターは発生したが、高齢者施設ではなく、一般病棟で確認された(El brote se registró en la zona sanitaria del hospital y no afectó a la zona residencial)。
③ 高齢者施設では、98%のブースター接種を終えている(tiene al 98 por ciento de pacientes con la tercera dosis)。
①~③までの事実を切り刻んで、そして、再び貼り合わせれば、全く異なる、他の事実が出来上がってしまう。「いつ、どこで、何が、だれが、なぜ、どうやって」は物事を伝える際の基本だが、情報を受け取る方もこの5W1Hを念頭に、かみ砕きながら、消化していかないと。早合点は禁物だ。なお、同院は12月16日から診療を再開している(desde el 16 de diciembre las visitas vuelven a estar permitidas)とのこと。
3.スティーブ・キルシュなる人物
この人物は実在する。名前は知らずとも、彼の開発した「光学式マウス(ratón óptico)」は瞬く間に全世界に広がったから、その恩恵にあずかる人は多い。あのコードが絡まるイライラを知っている世代が、だんだんと、少なくなるんだなぁ・・・。まぁ、良いことだ。
で、このキルシュが、アメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration)の開催するパネルディスカッション(panel)で、「ワクチンは人を救うより、多くの人を殺している(las vacunas matan a más personas de las que salvan)」などと発言したことがSNS上に拡散した。どうやら、このように語ったこと自体は事実のようだ。
しかし、キルシュは冒頭でも述べたように技術者だ。コロナの専門家でも、アメリカ食品医薬品局の研究員でもない。こんな人物の発言にアメリカ食品医薬品局がいちいちヤキモキするのもおかしな話だが、やはり議事録上で訂正なり、削除なりすべきだった。これを怠ったことが、ガセネタの原因となったのだから。
同局は「3回目接種を支持している(respalda la tercera dosis de las vacunas)」というのが真相。
やはり、正すべきは、すぐに正さないとダメ。どんな場合も。不必要な相づちをうってるだけでも、相手には誤解されてしまうことがあるからね・・・。気を付けましょ。
写真はワクチン接種を受けるジョンソン首相。看護師が手袋(guantes)をしていないことにも批判があった。この写真が撮られたのと同時に撮影された動画(https://www.youtube.com/watch?v=wZnRbzAmzds)の1:11くらいで実際に注射器を挿している様子が見える。下のように拡大鏡(lupa)機能を使って、検証もしているが、やはり、3回目接種を打っていると見ていいんじゃない。