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10/13 ニュースなスペイン語 Mirada cómplice:暗黙の視線

今から531年前の10月12日、クリストファー・コロンブス(Christopher Columbus;Cristóbal Colón)が、新大陸に到達したことを記念し、スペインではこの日を「国民の祝日(Fiesta Nacional)」と定めている(中南米諸国では「民族の日(Día de la Raza)」と呼ばれている)。

この日の目玉のイベントのひとつが「軍事パレード(Desfile de las Fuerzas Armadas」 だが、今年はレオノール王女(Princesa Leonor)が世間の耳目の全てを持っていった感じ。

レオノールはあと数週間で成人となり、正式な王位継承者(heredera oficial)となる。

国民の祝日のこの日、レオノールは父親であるフェリペ6世(Felipe VI)と共にパレードを観閲した(revista)が、その際、腕の完璧な角度(con la posición perfecta de ángulo)と手をしっかり閉じた(un apretón de manos)、非の打ち所のない敬礼(un impecable saludo militar)で軍人らを迎えた。

軍関係者によれば、こうした入念なたたずまい(cuidado lenguaje no verbal)は、今年8月から籍を置いている士官学校での軍隊教育(formación marcial)がしっかり根付いていることの証(su arraigo en la formación marcial)と言う。

ところで、レオノールとフェリペ6世は、式典の間に、以下の写真のように意味ありげな視線を交わした。

国営放送の記事は、ふたりの間のこの言葉なきやり取りを「暗黙の視線」と表現。

この「cómplice」の第一義は「共犯の」だが、ここから、お互いに、口には出さねど、思いは同じ――という具合に解釈が広がると共に、犯罪の匂いも薄まり「示し合わせた」のような意味にもなる。

母親である王妃も立ち入れない、師匠と弟子でもなく、単なる父娘を超えた関係をつなぐ「暗黙の視線」――。

凡人の想像すら及ばない領域だ。

写真はパレードを観閲するレオノール。

あかね色のベレー帽(boina roja "grance")は士官候補生(cadete)を示す。

これに陸軍の正装(el traje de gala del Ejército de Tierra)であるカーキのズボンとジャケット(pantalón y chaqueta caqui)、白いシャツ(camisa blanca)、黒いネクタイ(corbata negra)、白い手袋(guantes blancos)をまとう。

凛々しい。

幼き頃からリアルタイムでレオノールを見ていた者として、姪の晴れ姿をまばゆく見る親戚のおじさん的な、何とも妙な感慨を覚えた小生だった(未来の女王となるお方に何たる恐れ多いことよ)。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20231012/princesa-leonor-protagonista-del-desfile-fiesta-nacional-bajo-mirada-complice-del-rey/2458183.shtml