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10/21 ニュースなスペイン語 Arte y salud:アートと健康

もし、ゴヤのマハ、ルーベンスのヴィーナス、バルドゥング・グリーンのイヴが乳がんだったら(¿Y si la Maja de Goya, la Venus de Rubens y la Eva de Baldung Grien hubieran tenido cáncer de mama?)――。

これは、現在、マドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館(Museo Thyssen-Bornemisza)で開催中の展覧会(exposición)「アートと健康」が投げかける問である。

この展覧会を主催する「クルトゥーラ・エン・ベナ財団(Fundación Cultura en Vena)」によれば、健康についての議論をアートという文脈に寄せることで(acercando el debate sanitario al ámbito cultural)、アートが人びとの健康にいかに大きな効能を持つか(los beneficios del arte en la salud)を考える場にしたいという。

フランシスコ・デ・ゴヤ(Francisco de Goya)作『裸のマハ(La Maja Desnuda)』の他、数点の名画のモデルたちに、乳房切除(mastectomía)の跡をデジタル加工によって施したのは、写真家ホルヘ・サルガド(Jorge Salgado)。

そして、それらの絵画に解説を付けた美術史の専門家アナ・フォルゲラ(Ana Folguera)は次のように話す。

私たちは病のプロセスという体験を経た身体たちを表現したいのです。なぜなら、それは生きることの一部を成すものだから。そして、乳房を切除した胸を「無いもの」としてではなく、「新たに得たもの」として提示したかったのです。そこに新たな身体が生まれ、新たな個人が生まれるからです(estos cuerpos con la vivencia de un proceso de la enfermedad, que forma parte de la vida, y en el que se presentan los senos extirpados no como ausencia, sino como una nueva presencia: nace un nuevo cuerpo, y por tanto nace una nueva subjetividad)。

展覧会には、ハンス・バルドゥング・グリーン作『アダムとイヴ』もあるが、イヴだけでなく、アダムにも乳房切除が施されているのが分かる。

割合は女性よりもはるかに低いものの、乳がんは男性にも襲いくる病ということを忘れてはならないから(Porque no hay que olvidar que, aunque en un porcentaje muy inferior, la enfermedad puede atacar también a los hombres)と記事は説く。

展示会は今月19日から26日までの1週間、開催される。

写真は乳房切除のデジタル加工を施した『裸のマハ(一部)』。

展覧会には、クルトゥーラ・エン・ベナ財団が促進しているある研究についての報告書(Libro Blanco)も展示される予定。

それは、様々な疾病に音楽が及ぼす影響についての、スペイン初の科学的な調査(la primera investigación científica realizada en España sobre los efectos de la música en directo en diferentes patologías)のこと。 

詳細が明らかになったら、こちらも紹介しよう。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20221019/maja-venus-eva-lucen-su-mastectomia-para-normalizar-cancer-mama/2406348.shtml