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8/29 ニュースなスペイン語 Migración circular:循環移民

循環移民は、2000年に法制化されていて、すでに実績もある制度なので、特段「ニュースなスペイン語」という訳でもないのだが、新しい動きがあったので、紹介する。  

そもそも、循環移民とは、移民を出身国で労働者として育成し、彼らと雇用契約を結ぶことで、一定期間スペインで職に就かせ、その後、また、本国に帰還させる(formación y contratación de trabajadores en origen para que vayan a ejercer una labor concreta en España de forma estacional y, a su término, regreso a su país)制度のこと。

「循環」となっているのは、年間で最大9ヶ月(un máximo de nueve meses por año)、4年間、繰り返し、この制度を使うことができることに由来している。

現在、スペインはモロッコ、エクアドル、アルゼンチン、ウルグアイ、ホンジュラス、セネガルと循環移民の取り決めを交わしている。

概数で、モロッコからは1万6000人、コロンビアからは2500人、ホンジュラスからは550人、また、2023年からはセネガル・アルゼンチン・ウルグアイから合わせて1万7200人の循環移民がスペインに入って来たという。

そして、この度、モーリタニアとガンビアを訪問中のペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相が、これら2カ国を循環移民制度に追加する取り決めを結んだというのが、新たな進展。

スペインは2050年までに、20万人から25万人の移民労働者が必要になる(España necesitará de 200.000 a 250.000 trabajadores migrantes hasta 2050)と試算していて、福祉国家スペインを維持するために(para sostener el Estado del bienestar)循環移民を必須な人員と位置づけている。

外務大臣(ministro de Asuntos Extranjeros)のホセ・マヌエル・アルバレス(José Manuel Albares)は、循環移民を、スペインが多くの国で実践していて、成功を収めている制度(fórmula muy exitosa ensayada por España en muchos países)であり、スペインの労働者たちが必要としてる(demandada por empleadores españoles)と胸を張る。

こういう自負があるためか、この度、新たな取り決めを交わしたサンチェスを「無責任(irresponsable)」と批判した国民党(PP)党首アルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)に対して、アルバレスは次のように批判返ししている。

フェイホは極右の連中らが持っている、最も外国人嫌悪の考えをあからさまに支持している(Feijóo abiertamente abraza las tesis más xenófobas de la extrema derecha)。

違法移民(migración ilegal)が増えて、彼らを統率するマフィア(mafia)が行脚する社会よりも、働きたい・働いてもらいたいというウィン・ウィンの関係が合法的に続く方が断然良いと思うんだけど。

写真は157人を乗せた木製ボート(cayuco)。

2023年7月23日の『La Provincia』のネット版より。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240828/claves-migracion-circular/16229198.shtml