2/12 ニュースなスペイン語 Narcolancha:麻薬運搬ランチ
「ランチ」と言っても、「昼食(lunch)」のことではなく、原動機の付いた小型船(launch)のこと(タイトル写真)。
アンダルシア州はカディス県にあるアルヘシラス(Algeciras)港は、麻薬マフィアにとって、その戦略上、重要な拠点(lugares estratégicos)。
犯罪グループらは、ジブラルタル海峡(Estrecho de Gibraltar)を渡って、スペインに入国する手立てを探るが、港周辺の警戒が強化されたことで、入国ルートが多様化(diversificadas)してきたという。
こうした現状の中、犯罪グループが目を付けたのが、同じくカディス県にあるバルバテ(Barbate)という港らしい。
先日、このバルバテ港付近で警戒にあたっていた治安警察隊(Guardia Civil)の隊員のふたりが、犯罪グループの操縦する麻薬運搬ランチ船と激突し、殉職した。
彼らの葬儀が日曜日、しめやかに(solemne)執り行われている様子が報じれていた。
遺族や関係者が肩を抱き合いながら殉職者の死をいたんでいる中、涙をこらえて棺を担ぐ同僚たちの姿がなお痛ましい。
ところで、麻薬グループが使うランチ船は、治安警察が保有する船をはるかに上回る性能だというから驚く。
幅が約13キロメートルのジブラルタル海峡をわずか15分で横断できるという。
「わずか」などと書いたものの、正直なところ、小生はランチ船なるものに乗ったことがないので、13キロを15分で駆け抜ける速さがあまり実感がわかない。
麻薬運搬ランチは、最高時速70ノット(nudos)出るとある。
これを地上のスピードに換算すると、時速約130キロ。
とてつもないスピードであることが、ようやく、分かった。
これは、治安警察のランチ船を40キロも上回るというから、競り合っても、まるで、勝負にならないというのが現実のようだ。
なお、スペインでは、ランチ船を使用すること(uso)はもちろん、単に所有すること(simple tenencia)自体も、密輸罪(contrabando)に該当するため、2018年から禁じられているという。
写真は警察によって押収された麻薬運搬ランチ船。
YAMAHAの文字が見える。
多分、エンジン部分だろうが、はからずも犯罪に関与している船に使われていると知ると、同メーカーに親しみのある日本人としては、残念やら、申し訳ないやら…。
ちなみに、本文では「ランチ(船)」などと訳知り顔で書いてきたが、小生にとっては初見の単語。
ちょっとググってみると、ビジネス用語では、「新商品や新しいサービスを立ち上げること」を「ローンチ」と言うとある。
ロケット業界でも「打ち上げ」のことを「ローンチ」とも言うらしい。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20240210/narcolanchas-mas-potentes-guardia-civil-capaces-cruzar-estrecho-15-minutos/15964734.shtml