12/30 ニュースなスペイン語 Leones:ライオン
スペイン国営放送(RTVE)の28日付の記事は次のような見出しが打ってある。
国会(正確には「下院(Congreso de los Diputados )」の入口を見張っていた2体のライオン像がこの度、スペインオオヤマネコの像に取り換えられることになる(Los leones que custodian la entrada del Congreso de los Diputados serán sustituidos por linces ibéricos)。
しかも、このヤマネコ像は実際に狩られた本物(cazados)をはく製にし(disecados)、銅でコーティングした(bañados en cobre)ものを使うというから、徹底的にリアリティを追求した造形になるのだろう。
かなり手が込んでいる作業になるため、総額1000万ユーロ(約15億6000万円)が投じられるというから、年末を彩る一大プロジェクトになる。
これは老朽化(deterioro)が目立ってきたライオン像を、スペインの固有種であるヤマネコに変えることで、その価値を高める狙いがあるようだ(poner en valor la fauna autóctona de España)。
2体のライオン像の解体は28日に議会内で行われ(La destrucción de los leones se realizará este jueves 28 de diciembre en el hemiciclo del Congreso)、その模様は、同日22時から、スペイン国営放送で生中継されるとある。
なお、ライオン像は銅製(de bronce)で、1872年にスペインの彫刻家ポンシアノ・ポンサノ(Ponciano Ponzano)によって作られたもの。
それぞれ重量が2668キロと 2219キロあるとのことだが、さすがに、経年によって、傷んできたという。
ちなみに、老朽化の原因と考えられているのが、日々、銅像に浴びせられる高濃度の政治性汚染物質と政治性摩擦熱(tras sufrir diariamente altos niveles de contaminación y crispación política)と聞けば、納得する・・・
・・・か?ちょ、ちょっと待てよ!!何これ!?納得するわけないだろ。何かヘンだと思ったよ!
と思った人はちゃんと情報を疑いながら読んでるんでしょう。
♬チャッチャー♪ ドッキリネタ。
でも、国営放送がガセネタ(bulo)をこんなに堂々と流してもいいわけ?
12月28日はカトリックでは「無辜嬰児殉教の日(Día de los Santos Inocentes)」とされている(これは本当!)。
マタイの福音書(Evangelio de Mateo)によれば、新たにユダヤの王になるとされる子(=キリスト)が誕生したことを恐れたヘデロ大王が、ベツレヘム(Belén)で生まれた2歳以下の赤ちゃんたちを大虐殺したという(これも本当!!)。
これらの無実の赤ちゃんたちはカトリック史上最初の殉教者とされている(これも・・・)。
その一方で、inocenteという語が「無実の」という意味の他に、「害のない(que no es noctivo)」という意味もあるのも本当の話し。
そんな訳で、この12月28日は人を傷つけない冗談を言ってもいい日(Día de la broma)となったみたい。
日本で言うエイプリル・フールのような日。
今回の報道は、一言で言えばウソだけど、まぁ、誰も傷ついてないので、目くじら立てないで、笑っちゃいましょう、というスタンス。
ただし、以下の「無邪気人形(muñeco inocente)」を分かるように付けておくのが暗黙のルール。
だから、今回取り上げた記事の見出し写真にも、興ざめするくらい大きな無邪気人形がコラージュされている(もう少し、小さいのにすれば良いのに)。
写真は国会の入口に鎮座するライオン。
狛犬の発想に似てる。
ちなみに、セルバンテスの没後400年に当たっていた2016年には、セルバンテスの作品を読めるようにと、ケベドの丸メガネをつけたこともあったらしい(これも、本当のこと)
何かとイジられやすいみたい。