見出し画像

7/5 ニュースなスペイン語 Solidaridad obligatoria:強制的連帯

今日は昨日の続報、と思っていたが、移民問題で与野党の対立が激化してきたので、急きょ、予定を変更した。

身寄りのない外国人未成年者(menores extranjeros no acompañados;MENA)がカナリア諸島州などの収容センターで飽和状態となった(saturado)ため、彼らを他の自治州に配分(reparto)するための法律緊急改正案(reforma urgente)の最終調整が4月、政府与党(Gobierno)で終わった。

そして、いよいよ具体的に動き出す段になって、あちらこちらで対立が表面化してきている。

MENAはここ8年で220%増加し、移民の主な受け入れ先であるカナリア諸島州に至っては、その増加率は3000%にまで達しているのが現状。

だから、政府としては、MENAを全ての自治州で受け入れて、少しでもカナリア諸島州や、セウタ(Ceuta)やメリージャ(Melilla)などのモロッコと国境を接している都市の負担を軽減したいところだが、これを渋る自治州がある。

MENAたちの素行がよろしくないというのが一番の理由で、彼らが押し寄せてくることで州の治安が脅かされるのではないかとの懸念がどうしてもぬぐえない。

そこで、政府から飛び出たのが、表題に上げた「強制的連帯」という方針。

「連帯」は災害や有事の際にスペイン人を結びつける心意気で、通常は自主性によるものなので、「強制的」とは、本来、馴染まない。

現在、最もMENAを受け入れているのが、当たり前だが、カナリア諸島州(3030人)で、ここにアンダルシア州(1700人)、カタルーニャ州(1330人)、バレンシア州(1016人)、マドリード州(849人)が続く。

一方、カンタブリア州は34人、ラ・リオハ州は、たった10人で、まぁ、政府が不満を漏らすのもうなづける自治州があるのも事実。

国民党(PP)のアルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)は「現状はもう限界に達している。他の国と異なる国策を取れば、ウェルテル効果を生むかもしれないし、もう実際、その結果が出ているところもある(La situación es límite. Tomar medidas en España diferentes a otros países puede derivar y deriva en un efecto llamada)」と述べた。

ウェルテル効果とはメディアで自殺の報道がある程、自殺者が増えるという心理的な傾向を指すが、はて、MENAたちの自殺が増えている、ということか(少なくとも、今回の記事にはそういうデータはない)。

もしくは、もう少し拡大解釈して、MENAを全ての自治州で受け入れるという報道があれば、他の国を追われたMENAがどんどん押し寄せてくるということか。

それはさておき、フェイホはMENAたちが国境を越えないように軍隊(Ejército)を増強し、そのための資金(dinero)を政府に要求している。

また、アンダルシア州のボックス(Vox)の会派連は、政府の推進するMENAらの分配案に反対(rechazar la propuesta de reparto promovida por el Gobierno de España)を唱え、まずは、親戚縁者のいる未成年者は出身国に送還するよう要求(exigir la repatriación de los menores con sus padres a sus países de origen)している。

フェイホとしては、一応、右派のよしみで、強硬路線のボックスと足並みをそろえようとしているようにも見えるが、しかし、アンダルシア州やマドリード州は国民党の牙城だけど、しっかり、MENAを受け入れている。

フェイホは党外の顔色を見すぎて、党内の不協和音が聞こえなくなってるか。

写真は赤十字(Cruz Roja)から支給された食料を手にしたMENAの少年たち。

言葉も分からない外国に、ひとり放り出され、どうやって生きていけば良いのかまったく分からない状況に置かれれば、まぁ、誰だって、鋭い目つきになる。

出典
https://www.cuatro.com/noticias/espana/20240703/pp-psoe-vox-acuerdo-reparto-menores-extranjeros-acompanados_18_012934765.html