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4/5 ニュースなスペイン語 Estafa:詐欺

スペインの国家警察(Policía Nacional(日本の「警視庁」に相当))は「新しい手口(nueva modalidad)」の詐欺が横行しているとして、注意を呼びかけている。

手口はこんな具合だ。

ターゲットの通信アプリWhatsApp(日本の「ライン」に相当)に次のようなメッセージを送りつけるという(なお、以下の日本語訳では「男性」を想定しているが、スペイン語は「女性」でも使える文面だ)。

母さん、これが俺の新しい携帯の番号。前のが壊れちゃってね。で、お願いがあってさ(Mamá, este es mi número nuevo, se me ha roto el otro móvil y necesito un favor)

どこかで見たことのある書きぶり。

スペインにも「オレオレ詐欺」が、ついに、到来したのである。そして、詐欺師(estafador)は次のように続ける。

今、ちょっとした支払いがあるんだけど、カードが手元になくてさ、お金振り込んでくれないかな(¿Me puedes hacer una transferencia para pagar una cosa, que no tengo la tarjeta a mano?)

だけど、端末の問題(problema de terminal)で電話が出来ない、とも付け加える。

まぁ、怪しさが満載なのだが、スペインのママたちは、この種の詐欺に免疫がないものだから、最近、全国で2000ユーロ(約26万8000円)から2万6000ユーロ(約349万円)の被害が出てしまった。

そして、警察当局からのアドバイス(recomienda)は次のようなものだ。こうした、メッセージを受け取ったら

① 平常心を失わないこと(no perder la calma)
② 振り込む前に、携帯で家族の誰かに相談すること携帯の側に、家族の誰かを(al otro lado del móvil se encuentra un familiar antes de hacer pagos)

そう言えば、日本の当局も同じようなことを言ってたなぁ。

このような特殊詐欺を一言で表す用語はまだないが、この詐欺を語る時に不可欠な語が、「hacerse pasar por ....」だ。hacerは「使役(〜させる)」、seは再帰代名詞で「自分のことを」、pasarは「通す」、porは前置詞で、ここでは、「〜の代わりに」という意味。全体としては、「〜の代わりに自分のことを通す」というのが直訳だ。辞書には「自称する」とあるが、ちょっとイメージしにくい。今回の文脈では「〜になりすます」がピッタリくる。

子を想う親の気持ちは日本でもスペインでも同じだ。そして、その親心につけこみ、悪さをしようとする詐欺師の心理も、また、洋の東西を問わず、変わらない。

オレオレ詐欺については、日本は、残念ながら、たくさん蓄積があるから、何か情報提供したら、感謝されるのになぁ。 

出典
〈本文〉〈写真〉
https://www.rtve.es/noticias/20220404/estafa-whatsapp-simulan-hijos/2327231.shtml