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1/12 ニュースなスペイン語 Yihadistas:聖戦主義者

「聖戦主義(yihadismo)」はスペイン王立アカデミー(Real Academia Española)の辞書にも載っている語である。

ということは、スペイン語では、相応の認知度を得ていることを意味する。

教義のためなら戦いもやむなし――。

こんな「聖なる戦い(santa guerra)」を軸とする聖戦主義は、語義上は、誰にだって、そして、どの宗教にもあるはずだが、スペイン語では、通常、「イスラム国(Estado Islámico)」によるテロ行為(terrorismo)に限定される。

そして、聖なる戦いをも辞さないと考える人が、タイトルにもあげた「聖戦主義者」だ。

今、ふたりのスペイン女性をめぐり、メディアがざわついている。

ふたりはジョランダ・マルティネス(Yolanda Martínez)とルナ・フェルナンデス(Luna Fernández)という(写真)。

ジョランダには4人の子供がいて、夫はイスラム国の戦闘員で現在服役中。一方のルナには子供が9人もいて、夫は同じくイスラム国の戦闘員だったが、シリアで戦死している。

ふたりが実際の戦闘に加わっていたのかどうかは不明だが、少なくとも戦闘員の妻という立場。こんなふたりにもスペイン語では「la yihadista」という語を用いる。

ふたりは、別のふたりの女性たちと共に2019年11月、渡航が禁じられていたシリアに入国し、イスラム国の一員になろうとしていた(enrolarse)として、国家裁判所(Audiencia Nacional)は、4人の女性たちに対して、テロ容疑(presunto delito de terrorismo)で、国際逮捕令状(órdenes internacionales de detención)を出していた。

ジョランダとルナはシリア北部の難民キャンプ(campo de refugiados;〜de desplazados)に滞在していて、子供たちにとって、劣悪な環境ゆえ、スペインに一刻も早く再帰国(repatriación)したいとの意向(voluntad)を示していた。

この再帰国作戦(operación)で大きな役割を果たしていたのが、実は、アメリカ合衆国のジョー・バイデン(Joe Biden)政権だった。

アメリカは難民キャンプから自国民(nacionales)を救出したい国に対して、輸送の援助(apoyo logístico)などの支援を行うと呼びかけていたという。

スペインにとっては、まさに、渡りに船。

難民キャンプの複雑な状況(complejidad)ゆえ、去年の夏前から数ヶ月に渡る手続きなどを経て、ジョランダとルナのふたりを10日の夜、スペインに無事、帰還させることに成功した。

ふたりはトレホン・デ・アルドス(Torrejón de Ardoz)空軍基地に降り立ち、祖国の地を踏んだ――。

感動ストーリーっぽく書いたが、帰還を果たしたジョランダとルナには、当然のことながら、これから司法による裁きが待っている。

ふたりは、インタビューなどで、なぜ逮捕されなければならないのか分からない、子供たちと離れたくない、と話しているという(decían que no entendían por qué tenían que ir a la cárcel y que no querían separarse de ellos)。

また、ふたりは何もしていないし、イスラム国に連れて行かれるとは思ってもいなかった、夫は何も言ってなかった。トルコに行くと思っていたが、最終的にはイスラム国に来てしまった、などとも言っているらしい(Ambas aseguraban a TVE que no han hecho nada, que no sabían que iban a unirse al Daesh, que sus maridos no se lo dijeron, que creían que iban a Turquía y acabaron en el autodenominado Estado Islámico)。

詳しくは署で聞こう…。

写真はショランダ(手前)とルナ。 

小生は知らなかったが、このふたりについては、様々な記事が出ている。

何かと物議を呼んだ人物のようだ。

ちなみに、ネット上には「yijadismo」という綴りも散見されるが、こちらは、アカデミーの辞書には未掲載。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230110/espana-repatria-mujeres-yihadistas-siria/2414970.shtml