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12/15 ニュースなスペイン語 Palabra del año(1):今年のことば(1)

このタイトルをメディアで見ると、あぁ、歳の瀬を迎えたなぁ、と思う。

「Fundéu RAE」という財団が毎年、この時期に発表する「今年のことば」の候補12語(doce candidatas)が出揃った。

候補選定の基準は2つある。 

ひとつは、この12ヶ月の間、メディアや社会的な議論に頻繁に登場した(con especial frecuencia en los medios de comunicación y en el debate social en los últimos doce meses)語であること。

そして、もうひとつが、話者たちが疑問に思った(generen dudas entre los hablantes)とか新しい意味を獲得した(hayan adquirido un significado nuevo)、もしくは、単語の構造があまり一般的ではない(se hayan formado de una manera poco habitual)など、言語学的に見て(desde el punto de vista lingüístico)、何らかの面白み(algún interés)がある語であること。

大賞は来週19日に決まる(se conocerá)そうので、それまでに、何回かに分けて、12語を紹介しておこう(例年より早いかな)。 

なお、今年、小欄でも取り上げたことがある語については、各見出しの後にその日付をカッコ書きしておく。

1.Alucinación(9月30日)
この語は本来は「幻覚」という意味で使われていたが、近年、人工知能(inteligencia artificial」が「ねつ造する誤った情報(invención de información errónea)」で使用されることが増えてきて、こちらは専門用語で「ハルシネーション」という、英語の「hallucination」由来のカタカナ語を使う。

ちなみに、「人工知能」は2022年の「今年のことば大賞(ganadora)」。

2.Dana(11月1日など)
小欄でも頻繁に出てきた語で、「寒冷低気圧」と訳を付けてきた(が、専門的には「寒冷渦」という)。

10月29日にバレンシア州を直撃し、今現在犠牲者の数は230人で、今もなお、5人が行方不明になっている。

被害の甚大さもさることながら、事前事後の、特に、バレンシア自治政府の対応のまずさが悪目立ちしてしまった。

スペイン王立アカデミー(RAE)の今回の最新アップデート版の辞書に仲間入りした。

当初は、「Depresión Aislada de Nivel Alto(「上層で切離された低気圧」の意)」の頭文字(sigla)として「DANA」と表記されていたが、最近では「la dana」のように小文字でも書かれ(escrito en minúsculas)、普通名詞(sustantivo común)扱いで使われ始めているとある。

社会的インパクトの大きさと、それ故、メディアや人々の話題に頻繁にのぼったことを考慮すると、小生は今年のことばの最優秀候補と見ている。

3.Fango(5月2日など)
この語は「泥」という意味で、バレンシア州を襲った寒冷低気圧(dana;DANA)によって街中が泥(fango;barro;lodo)に覆われた(ちなみに「lodo」は逆に読むと「ドロ」になるので、小生が真っ先に覚えた語)。

あと、この語は政治の世界でも登場し、「泥塗りのシステム(máquina del fango)」という文脈でも使われた(詳しくは5月2日の小欄を参照)。

4.Gordofobia
「肥満嫌い」という意味。

ハイフン(guion)を入れて2語として「gordo-fobia」のようには書かないということらしい(けど、小生はこういう表記はみたことないなぁ…)。

この語が形容詞としては、ふたつの形(「gordófobo」 と「gordofóbico」)が文法的には有効(gramaticalmente válido)。

写真はFundéu財団の2024年の「今年のことば」のHPのトップページ。

ちなみに、英国のオックスフォード大学出版局が今年の単語(Word of year)に選んだのは「brain rot(脳腐れ)」で、その意味は「とりわけ取るに足らないオンラインコンテンツの過剰消費の結果として生じるとされる精神的または知的状態の悪化」のこと。

出典
https://www.fundeu.es/recomendacion/candidatas-a-palabra-del-ano-2024-de-la-fundeurae/