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11/13 ニュースなスペイン語 Objetos cumplidos:目標達成

小欄でも度々取り上げているが、スペイン社会労働党(PSOE)はカタルーニャ独立派メンバーの恩赦(amnistía)を交渉カードに使い、これと引き換えに、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)の首相就任(investidura)のための支持を独立派から取り付けることに成功した(そして、今週末にいよいよ論戦と投票が行われる)。

こうした恩赦(とこれを可能にする法案)に反対する抗議活動(protesta)がマドリードの社会労働党本部前で、ボックス(Vox)を支持する若者らによって展開され、機動隊によって催涙ガスなどが噴霧されるなど混乱が続いている。

この抗議活動も日曜日で10日目に突入した。

そんな中、今度は国民党(PP)の招集(convocado)によって、恩赦に反対するデモ(manifestación)がスペイン各地で行われた。

国民党党首、アルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)はマドリードに集結したデモの参加者たちに向けて、次のように、演説した。

自らの支持者を無罪放免にすることと引き換えに就任を目指す首相をスペインは迎えることになる。我々は首相の座が売り買いの対象になることを許さない(España va a tener a un presidente que ha comprado su investidura a cambio de la impunidad judicial de sus socios. No admitimos que la Presidencia del Gobierno sea una compraventa)。

そして、フェイホは、今、スペインがやってることは、国民が投票で示した意志とは違う(lo que se está haciendo es lo contrario a lo que hemos votado)と述べ、総選挙のやり直しを要求した。そして、

選挙で我々の訴えを語るまで、我々は黙ることはない。どうして、社会労働党の連中は投票箱がそんなに怖いのか聞いてみたい(No nos callaremos hasta hablar en unas elecciones. ¿Por qué le tienen miedo a las urnas?)

と、社会労働党の投票結果を無視するような姿勢を痛烈に批判した。

主催者である国民党によれば、全国で100万人がデモに参加したとしているが、政府発表では8万人とかなり開きがある。

とは言え、先の総選挙では国民党が勝ったのだから、国民の大多数は、やはり、恩赦に反対してるとの見立ては間違っていない。

マドリード州知事イサベル・ディアス・アジュソ(Isabel Díaz Ayuso)がデモを前に「権力の行使に重石がなければ、サンチェスはスペインを独裁国家に導こうとしている(Sánchez nos llevará a una dictadura si no hay contrapesos en el poder)」との懸念を表明したのも頷ける。

マドリード以外でも、バレンシア州やアンダルシア州の主要都市、また、バルセロナでもデモは行われたという。

国民党本部(Génova)からは、多くの人々が今回のデモに参加したことに感動(impresionados)すると共に、大変、驚いている(sorprendidos)との声が上がっている。

今回の結果を大変前向きに評価し(una valoración muy positiva)、「目標は達成できた(Objetivo cumplido)」と自信を覗かせた。

サンチェスの首相就任の見通しは、11日の小欄でも紹介した通り、ほぼ立った。

独立派との不可避の約束であると同時に、国民の投票意図には合致しない恩赦を、今後、どのように扱ってゆくのか。

他人のことながら、イタタ、胃が痛くなる…。

写真はデモの様子。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20231112/miles-personas-pp-manifestaciones-amnistia/2460697.shtml