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11/14 ニュースなスペイン語 Estado crítico:危篤状態

マドリードの医療現場はもはや危篤状態にあります(La sanidad madrileña está en estado crítico)――。

13日にマドリードの主要道路を埋め尽くしたデモ(manifestación)に参加した看護士のひとりは冒頭のように述べた。

大人数の行進(marcha multitudinaria)はマドリードの四方から出発し、最終的にはシベレス広場(Plaza de Cibeles)に合流し、ここで解散した。

マドリード州政府の発表では20万人、主催者の発表では67万人の人々がデモに参加した。

参加者は医者や看護師、それに一般市民。また、映画監督のペドロ・アルモドバル(Pedro Almodóbar)も参加し、話題になった(写真)。

今日は11月7日の記事の続報である。

記事では医療スタッフの不足などからマドリードの夜間診療所(PAC)の運営が「混乱状態(caos)」にあることを紹介した。詳細はそちらに譲ろう。

さて、冒頭の看護師は次のように嘆く。

私たち医療スタッフはコロナ禍では称賛されましたが、今や、忘却の彼方です(Hemos pasado de los aplausos en la pandemia al olvido)。

この看護師によると、夜中の3時に派遣先がメールで送られてくるものの、その現場には医者がいなかったという。そして、次のように指摘する。

看護師と医師は違うし、私たちはお互いの業務を補い合っているのです。だから、看護師だけでは医師の同じ治療はできないのです(Tenemos profesiones diferentes y complementarias y no podemos ofrecer la misma asistencia)。

混乱ぶりの一旦だ。

また、デモに参加したある医師によると、緊急時にも、ビデオ診療(videoconferencia)を余儀され、狂気の沙汰(locura)と憤る。

そして、次のように言う。

多くのケースで、患者を直に見て、触れなければ、診察は間違うでしょう(En muchos casos el diagnóstico puede ser erróneo sin ver y tocar al paciente)。

デモの参加者たちは、この混乱ぶりの責任を追求すべく、デモの参加者たちはマドリード州知事イサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)の辞任を求めた。

デモに対する政治の評価は、もちろん、二分する。マドリード社会労働党の関係者は、次のように話す。

アジューソ知事は被害者ぶるのがお好きのようだが、本当の被害者は市民だ(A Ayuso le gusta hacerse la víctima, pero las víctimas son las familias)

一方、アジューソの庇護者、国民党(PP)はこのデモを「失敗(fracaso)」とし、マドリード市民の99%がデモを支持していない(el 99 % de los madrileños no la han apoyado)と断罪する。

渦中のアジューソの発言がまだ聞こえてこない。現状が改善するのか、改悪するのか・・・。

写真はデモの参加者の様子。人、人、人。本文中のアルモドバルの写真の背景にいる人たちは、ほぼ、ノーマスク。日本で同じようなデモが起きれば、間違いなく、参加者はマスクをするだろう。