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3/3 ニュースなスペイン語 Derecho a defenderse:自衛権
急転直下、スペイン政府の方針が180度変わった。
昨日、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相が、ウクライナに直接武器を供与(envío de armas)すると表明したのだ。
サンチェスは次のように述べた。
ウクライナは自衛のためのあらゆる権利を持つ。今、ウクライナの人々は侵攻勢力を前に、不平等な形で、戦っている(Ucrania tiene todo el derecho a defenderse. Están combatiendo de forma desigual ante una potencia invasora)。
そして、「戦争にはノー(El No a la guerra)」というポデモス党(Podemos)のスローガン(lema)を引用し、次のように続けた。
私も「戦争にはノー」を支持するが、私は単なるスローガンでは終わらせない。とりわけ(ロシア)軍の撤退と自衛の手段を全く持たない国民が(侵攻勢力と)対等の条件で戦えることに貢献する形でなされなければならない(Yo también defiendo el no a la guerra, pero no es un lema sino contribuir entre todos a la desescalada y ayudar a una población, que ahora mismo está sin ninguna capacidad para defenderse, a que lo haga en igualdad de condiciones)。
連立(coalición)を組むポデモス党を引き合いに出したが、これではポデモス党は赤っ恥だ。まるっきり、形無し。
そして、スペイン政府の方針転換で、与党内、というか、ポデモス党内がギクシャクしてきた。
つまり、サンチェスの決定を支持(apoyo)する勢力とこれをいさめる勢力が浮き彫りになってきたのだ。党内に「亀裂が入った(generar la discrepancia)」。
今後、こうした勢力図は変わるかもしれないが、少なくとも、今、サンチェスを支持するのはジョランダ・ディアス(Yolanda Díaz)だ。これは、まぁ、当然といえば当然で、ディアスは第二副首相(vicepresidenta)で、サンチェスに最も近い人物のひとりだからだ。
一方、サンチェス政権にモノ申すのは、ポデモス党党首(líder)であるイオネ・ベラーラ(Ione Belarra )だ。ベラーラはスペイン政府とEU諸国を「本来ならば外交ルートでなされなければならない全ての努力(todos los esfuerzos que deberían para reforzar las vías diplomáticas)」をしていないとし、非難した。ちなみに、ベラーラは社会権利省大臣(ministra de Derechos Sociales)なので、内閣の一員である。
サンチェスの周りが騒がしくなってきたのだ。
ベラーラは「増兵に加勢することは対立を解決することにはならないし、我々を世界的な対立の危険なシーンに導くだろう(contribuir a la escalada no va a resolver antes el conflicto y puede llevarnos a un escenario peligroso de conflicto mundial)」と指摘した。
ひと度、戦争に舵を切ると、残念ながら、引返すことはなかなか難しい。1秒でも早く、そして1人でも犠牲者が少ない状態で終戦しますように。
写真はジョランダ・ディアス(左)とイオネ・ベラーラ。
出典
〈本文〉
https://www.rtve.es/noticias/20220302/armas-ucrania-division-diaz-podemos/2300565.shtml
〈写真〉
https://as.com/diarioas/2021/03/15/actualidad/1615814215_935187.html