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5/1 ニュースなスペイン語 Poner en riesgo la coalición:連立の危機

スペイン政府(Gobierno)は、現在、連立政権(coalición)によって運営されている。

連立を構成するのは、首相ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)が党首を務めるスペイン社会労働党(Partido Socialista Obrero Español;PSOE)と、イオネ・ベラーラを党首(líder)とするポデモス党(Podemos)だ。

連立を組むからには、両党にはある程度の共通の価値観があるはずだが、まぁ、それを左派(izquierda)イデオロギーとするならば、PSOEは比較的バランスの取れた、穏健な「中道左派(centroizquierda)」。一方のポデモス党は時に過激な発言も辞さない「極左(ultraizquierda)」の様相を帯びる。

だから、よく両党の主張は真っ向から対立する。

ウクライナへの軍事支援(ayuda militar)や王室(Casa Real)について、散々、両党は火花を散らしてきた。

そして、4月21日や26日の記事でも紹介したスマホ監視ソフト「ペガサス(Pegasus)」による、カタルーニャ独立派(independentista)たちに対するスパイ疑惑(presunto espionaje)を巡っても両党の見解は食い違い、ついには、今日のタイトルにもなった発言がポデモス党首ベラーラから飛び出た。

連立政権をもっと大切にしなければらならない。いまや、緊張が走り、危機に直面しているのだから(cuidar la coalición, que se tensa y se pone en riesgo)。

と述べている。連立のパートナーに引導を渡したわけではなく、このままだと、本当にダメになってしまうから何とかしなければならない、と読むのが正確だろう。

先日、カタルーニャ独立派へのスパイ疑惑について、防衛大臣(ministra de la Defensa)マルガリータ・ロブレス(Margarita Robles)は次のように述べた。

憲法に異を唱え、独立を宣言し、社会に混乱を来し、ウクライナに侵攻している連中と未だに関係を維持している者がいる中、国家は何をすれば良いのか(Qué tiene que hacer el Estado cuando alguien vulnera la Constitución, declara la independencia, realiza desórdenes públicos o está teniendo relaciones con quien está invadiendo Ucrania)

これがまずかった……。

ポデモス党からはこの言葉がスパイ行為を正当化している(justifica)として、ロブレスを公然と批判し(acusa)、政治家としての責任(responsabilidad política)を果たすように要求した。つまり、暗に、辞任(cese)を要求してるわけだから、身内に対しても歯に衣着せることはない。

今回のスパイ疑惑で、カタルーニャ州政府(正確には「カタルーニャ共和主義左翼(Esquerra Republicana de Catalunya;ERC)」)との関係は「かなり傷ついた(tocada)」。

ウクライナ戦争の影響を緩和するための法案(decreto anticrisis)に、ERCからの協力も得られず、危うく、廃案になりそうだったが、バスク州のビルドゥ党(Bildu)に助けられた。

バスク州も、かつては、独立に燃えていた過去がある。政府はバスク州に大きな貸しを作ったかもしれない…。

写真はポデモス党首イオネ・ベラーラ(左)と、首相であり、PSOE党首でもあるペドロ・サンチェス。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20220430/legislatura-se-complica-gobierno-escandalo-pegasus-crisis-coalicion/2344200.shtml