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7/20 ニュースなスペイン語 PP:国民党
連日連夜、スペインは灼熱だ。直近7日間で亡くなった人の数が500人を上回っている。
こんな気候の異変が起こっている中、今、政治の世界でも、何かの変化が起ころうとしている。
社会動向センター(CIS)が先日公表した世論調査によると、国民党を支持する人が30.1%となり、スペイン社会労働党(PSOE)を支持する人(28.2%)を僅かながら上回った。これは、2018年4月以来、約4年ぶり。
メディアはこういう時、「もし、今総選挙が実施されれば、(国民党が)一番得票する党となるだろう(si se celebrasen ahora elecciones generales, sería el partido más votado)」という反実仮想文をよく使う。現PSOE政権の転覆がありえた、と思うと何かゾクゾクする。
この世論調査が行われたのが、7月1日〜12日。国連も眉をひそめたメリジャの大量柵越(salto masivo)が発生したのが6月27日だったので、少なからず、PSOE政権の対応のまずさが、結果に影響しているのかも知れない。また、6月末のNATOサミット後、ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)政権が軍事費拡大路線を表明した影響もあるのかも知れない。
加えて、先日のアンダルシア州の知事選挙で国民党が大勝したことも、この世論調査の結果を踏まえれば、成程、うなずける。
スペインはこのまま右傾化してゆくのかは分からない。しかし、少なくとも、極右化への道には、まだ、踏み込んでいない。というのも、今回の世論調査では極右政党ボックス党(Vox)への支持率が前回調査より4.5ポイント減り、12%にまで落ち込んだからだ。
その一方で、ボックス党の対極にあるポデモス党(Podemos)は、前回の世論調査から3.6ポイント増やし、13.4%にまで浮上した。政権与党の連立パートナーとして、かろうじて、面目を保ったところ。
党の顔としての党首(líder del partido)は誰を評価するか(valorar)――。こんな問もあった。
国民党党首、アルベルト・ヌニェス・フェイホー(Alberto Núñez Feijóo(写真))が10ポイント中、4.89ポイントでトップ。それまで、トップを独走中だったポデモス連合(Unidas Podemos)の代表ジョランダ・ディアス(Yolanda Díaz)をわずかに上回った(ディアスは今回4.81ポイント)。
そして、現政権首相であり、PSOE党首でもあるサンチェスは4.33ポイントで第3位。
しかし、3者はいずれも圧倒的に秀でているわけでもないので、今後、順位の入れ代わりが熾烈になるだろう。そして、この3人を虎視眈々と狙っているのが、4.02ポイントを獲得したマス・パイス党(Más País)の若きリーダー、イニゴ・エレホン(Íñigo Errejón)だ。6月6日の記事でも紹介した週休三日制を提言し、国家プロジェクトとして推進している注目株だ。
3.44ポイントの市民党(Ciudadanos)党首イネス・アリマダス(Inés Arrimadas)と、人気急落でわずか2.76ポイントしか取れなかったボックス党党首サンティアゴ・アバスカル(Santiago Abascal)は現在、トップ争いからは離脱中。
得てして、国民の移り気に政治は翻弄されがち。今後のレース展開が楽しみなような、ちょっと、怖いような………。
写真は現在の人気第1位フェイホー。あえて、ひょうきんっぽい写真を選んだが、なかなか、大笑いしてる写真がない。
フェイホーは2009年から今年までガリシア州の知事だった。だから、党首としての実績はゼロ。そのフェイホーがこれほどまでに支持される理由が、少なくとも、小生には分からない。国民はフェイホーに「何か」を期待してるのだろう。
出典
https://www.rtve.es/noticias/20220719/barometro-cis-julio-estimacion-voto-psoe-pp/2389361.shtml