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9/28 ニュースなスペイン語 Inaceptable decisión:受け入れがたい決定

実際はこの前に「inexplicable(説明の付かない)」という形容詞が付く。

両政府が政治の分野で築き上げていかなければならないはずのルートマップが、我々の国家元首を招待しないなどという、到底、説明の付かない、受け入れがたい決定によって、妨害されようとしている(Y esa hoja común que deberíamos estar construyendo ambos gobiernos, en términos políticos (...) se ven obstaculizadas por esta inexplicable e inaceptable exclusión de nuestro jefe del Estado)――。

むむむ、何やら込み入った話になってきたので、まずは、文脈を整理しておこう。

これは、国連ハイレベルウィーク(Semana de Alto Nivel de Naciones Unidas)に参加していたペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相が先日、記者団を前に語った弁である。

発言中の「両政府」とはスペイン・メキシコ両国の政権のこと。

そして、「我々の国家元首」とは、言うまでもなく、スペイン国王フェリペ6世(Felipe VI)のこと、さらに、「招待しない」とは、6月にメキシコ大統領に選出されたクラウディア・シェインバウム(Claudia Sheinbaum(写真左))の就任式(toma de posesión)にフェリペ6世を呼ばないことを決めた、ということをそれぞれ指している。

今回のメキシコ政府の決定は、かつて、2022年12月18日の小欄などでも取り上げた、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドル(Andrés Manuel López Obrador(写真右))前墨大統領のスタンスを引き継ぐもの。

メキシコ政府は今回の措置を決めた理由を、2019年にロペス・オブラドルがフェリペ6世に向けて、メキシコ征服時のスペイン人の蛮行を謝罪するよう求めた書簡を出したにもかかわらず、これへの返信がないこと(que no obtuvo respuesta a la carta enviada por el actual presidente, Andrés Manuel López Obrador, en 2019, en la que pedía que se disculpara por los abusos durante la conquista de México)としている。

サンチェスは、メキシコ政府の決定を尊重する(ha mostrado su respeto)としながらも、抗議のサインとして(en señal de protesta)、スペインからは誰も就任式に派遣しない事を決めている。

サンチェスは、メキシコとスペインを「兄弟国家(pueblos hermanos)」と見ていて、両国を結ぶものは、過去だけでなく、未来にも、数多くある(son muchas cosas las que nos unen a México y a España, no solamente de pasado, sino de futuro)とした。

ヤッタ側の未来志向/思考がことばの端々に見られるが、やはり、ヤラレタ側は、こういうところに苛立つのだから、まずは、過去を清算してから、未来を語らないと……。

などと、まぁ、訳知り顔で書いているが、日本もヤッタ側だし、ヤラレタ側の国だ。

かの国々には未来を語り、かの国には過去を忘れるなと要求する……。

個人レベルでは、スペイン人とメキシコ人は、”表面的に付き合っている限りは”、という但し書きがつくかもしれないが、うまくやってるんだけどね。

写真はシェインバウム(左)とロペス・オブラドル。

そういえば、コロンビアのグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)新大統領の就任式でのフェリペ6世の振る舞いにもいろいろ難癖を付けられたことがあった(2022年8月10日と11日の小欄を参照)。

ヤッタ側は、ヤラレタ側のキズはそう簡単には癒えないことを心しないと。

自戒を込めて……。

ちなみに、スペインはこの件について、サンチェスの意見表明に加え、さらなるアクションに出るようだ。また、稿を改めて、報告しよう。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240925/sanchez-considera-inexplicable-decision-mexico-no-invitar-rey-sheinbaum/16262758.shtml