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7/17 ニュースなスペイン語 Guerra de las lonas:垂幕合戦

総選挙を今月末に控え、いろいろな団体がそれぞれの主張を伝える垂幕(lona)を各所に下げている。

こんな様相を記事ではタイトルのように「垂幕合戦」と呼んでいる。

1.ボックス(Vox)
極右らしい過激な垂幕がマドリードにお目見えした。

重要なことを決めるのはあなた(Decide lo que importa)――。

こんな決めゼリフ(consigna;lema)の下にあるのが、性的少数派であるLGBTのレインボーフラッグ(bandera arcoíris)がゴミ箱(basura)に捨てられる画。

この垂幕が登場したのがプライドパレード(Orgullo)の真っただ中だったという。まぁ、嫌がらせにも、程がある。

他にも、カタルーニャ州の独立を意味する同州の旗や、SDGsの達成目標を定めた2023アジェンダ(Agenda 2023)の旗などもゴミ箱へポイ。

2.グリーンピース(Greenpeace)
グリーンピースと言えば、泣く子も黙る過激なパフォーマンスで自分たちの主張を繰り広げる環境団体だ。

日本も捕鯨問題でずいぶん、やりこめられてきた。

そのグリーンピースがこの度、ひねった垂幕を披露した。

垂幕はマドリードのアルカラ門に降ろされた。

幕には、左からスペイン社会労働党(PSOE)党首ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)、左翼連合スマール(Sumar)党首ヨランダ・ディアス(Yolanda Díaz)、ボックス党首サンティアゴ・アバスカル(Santiago Abascal)、そして、国民党(PP)党首アルベルト・ヌニェス・フェイホ(Alberto Núñez Feijóo)と思しき人物が描かれていて、皆が一様にびっしょり汗をかいている(sudorosos)。

しかも、こんがりと日焼け(quemados)までして。

もちろん、合成写真(utilizando la inteligencia artificial)だが、そんな彼らの下に書かれた言葉が小生好み。

あなたたちはこれでも気候変動に目をつぶるつもりですか(¿El cambio climático os la suda?)?

日本語にするとスペイン語のウィットが失われてしまうが、sudaは「汗をかく(sudar)」という意味。

だが、これがsudársela(再帰動詞じゃないからね)という使われ方をすると、「~に無関心である」という意味になる。

何か異変に気づいてはいるけど、たらたら汗を垂らしながら、見て見ない振り――。

結局、この垂幕は数時間後、警察によって撤去され、マドリード市長ホセ・ルイス・マルティネス・アルメイダ(José Luis Martínez-Almeida)は次のようなコメントを出した。

悪質なマナー違反には、断固、即刻対処する(Frente al incivismo, tolerancia cero)。

3.アヴァース(Avaaz)
ネットには怪しい噂が事欠かない団体みたい。

2007年にアメリカで発足した非営利団体。気候変動に警鐘を鳴らし、人権や動物の権利などの保護を主張する――。

ウィキには、まぁ、こんな事が書いてある。

で、この怪しげな団体が今回ぶっ放した垂幕が、これまた、面白い。

左側には「女性の権利を無視することは愛国心ではない(Despreciar los derechos no es patrialismo)」というメッセージと、木にかかって見えないが、他のアングルから確認すると「同性愛を嫌うことは自由の象徴ではない(Homofobia no es libertad)」のふたつのメッセージがある。

反対側には「7月23日の総選挙では、ヘイト共闘にノーを!(23J Contra los pacros del odio)」とある。

そして、真ん中には穏健そうなフェイホの面を一皮剥けば、中から、極右のアバスカルの目が光っているという図柄。

ふたりが党首を務める国民党とボックスの選挙協力(と、後の議席の合併)が行き着くところは「ヘイト」ーー。

まぁ、誰もが思いつきそうな分かりやすい危機感で人々を煽るのは、怪しい団体の常とう手段(だけど、どことなく現実味を帯び始めているのいうのも不気味(で、こういう心理を、連中は、見透かしているだろうけどね))。

日本の選挙戦には、風土に馴染まないのか、はたまた、皆が法律を順守しているからか、こうした過激なののしり合いはない。

心安らかにいられるからOKとするか、いやいや、そんな選挙はつまらないから過激なことをして、異を唱えるか・・・

いや、今の小生はそのどちらでもない。

まずは、採点、採点・・・(汗)。

写真は社会労働党の垂幕。

前進した先(Adelante)には、笑顔のサンチェスが待っている。皆、楽しそうだ。カラーの写真。

一方、後退した先(Atrás)で待ち構えているのは、不敵な笑みをしたフェイホとアバスカルの保守(本当はふたりとも普通の笑顔なんだろうけど、文脈次第でなんとなく不気味な嗤いにも見える(失礼!))。

出典
https://www.rtve.es/noticias/20230716/lonas-campana-23j-desokupa-greenpeace/2452076.shtml