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3/25 ニュースなスペイン語 Agrovoltaica:営農型太陽光発電

カスティージャ・ラ・マンチャ州のトレド(Toledo)で「ワインソーラー(Winesolar)」という実験的なプロジェクト(proyecto piloto)が進行している。

トレドのぶどう畑(viñedo)には、写真にみるように、ソーラーパネル(paneles solares)が設置されているという。

小生は初耳だったが、このように「農地に支柱を立てて上部に太陽光発電設備を設置し、その下で適切に農業を行う仕組み」を営農型太陽光発電と呼ぶそうな。

また、太陽光を農作物と発電の両方に活用することから、「ソーラーシェアリング」とも言うらしい。

スペインは、昨年10月16日や今月12日の小欄でも紹介した通り、気候変動(cambio climático)が激しく、中でも、夏は厳しく、乾燥していて(duro y seco)、農作物に影響が出ている。

作物にとって恵みであるはずの太陽も、度を越せば、厄介者になってしまうが、その陽の光を適度に遮りながら、発電に利用することで、収益(beneficio)を得ようというのがトレドのソーラーシェアリングの発想。

農業素人の小生からすれば、なかなか、理に適ったアイデアだと思うのだが、 実際には、農家の一部からは反対の声が高まっていて(creciente oposición en parte del mundo rural)、発電装置が農家の生活を脅かすと見られている(la instalación de plantas solares se ve como una amenaza para el medio de vida de los agricultores)という。

しかし、専門家によれば、太陽光発電と営農は「とても相性の良い夫婦(un matrimonio bien avenido)」となる可能性が大だという。

そして、次のように指摘する。

農業 対 太陽光発電というのは誤った対立です。太陽光発電は農家にとって問題ではなく、むしろ、チャンスとなるのです(Agricultura contra energía fotovoltaica es una falsa dicotomía. La fotovoltaica no es un problema para el mundo rural, es una oportunidad)。

また、「1足す1は2以上(uno más uno es más que dos)」とし、ふたつの収入源(fuente doble de ingresos)をもたらしてくれると期待をのぞかせる。

ソーラーシェアリングによって、農地の資産価値( valor económico de la tierra)は30%、全体の生産量(productividad total)は60%~70%、それぞれ、増加すると見込まれている。

上の試算を見る限り、農家にとって損にはならないように思うが、しかし、農家の懸案のひとつは、どうやら、ソーラーパネルの酷い外観(mala imagen)にあるらしい。

ただ、専門家たちは、それ程、景観を損ねることなく再生可能エネルギーを生み出すことができる(generar electricidad renovable sin tanto impacto paisajístico)という。

農家のもうひとつの懸案は、ソーラーパネルを設置し発電の収益を得る代わりに、これまで受給されていたEUによる域内共農業政策(Política Agraria Común)の補助金(subvenciones)がもらえなくなるというリスクを負いたがらない(no quieren asumir riesgo)という点。

これを専門家らは法律の穴(vacío legal)とする。

パネルを設置しても、補助は出すという方向に舵が切れれば、ソーラーシェアリングの先行きは開けてくるのかも。

写真はトレドのグアダムル(Guadamur)地区のぶどう畑。

ブランデー用のぶどうを作っているという。

人工知能(IA)を駆使したソーラーパネルで、太陽光を受けるのに最適な位置に移動するタイプらしい。

パネルが動くことで、日陰(sombra)ができる。

このことで、過度な日光が当たらないようになるため、ぶどうの大きさが10%〜15%大きくなり、アルコール度数は20%増えるという実績もあるみたい。

ソーラーシェアリングでも、良いんじゃな〜い?

出典
https://www.rtve.es/noticias/20240322/agrovoltaica-energia-solar-cultivos-complementan/16028583.shtml