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6/15 ニュースなスペイン語 Indultos y Rey:恩赦と国王

13日の記事でも既報だが、同日、マドリード市のコロン広場(Plaza de Colón)で大規模集会が行われた。集会には4万5000名の市民や政治家ら集結した。彼らがコロン広場に集まった理由は、唯ひとつ。2010 年10月にカタルーニャ独立の一連の所業(procés)を企てた政治家たちに対して、政府が画策している「恩赦(indultos)」に反対するためだ。

最高裁(Tribunal Supremo)は、かの政治家らには、「後悔の念(arrepentimiento)」がないことから、恩赦を認めることに否決の判断を示している。

にもかかわらず、政府は恩赦の手続きを進めているのである。市民や野党からの反対があって当然だ。

そんな中、マドリード知事選で再選を果たしたイサベル・ディアス・アジューソ(Isabel Díaz Ayuso)の発言が議論を呼び起こしている。

国王ってこういう時、何ができるんでしょうかね(qué va a hacer el rey)。ペドロ・サンチェス政権は国王を共犯者に仕立て上げようってことなんですかね(le va a hacer cómplice)

政府が、もし、恩赦を承認した場合、国王がこれに署名を「しなければならない」のだ。なぜなら、署名はスペイン憲法(Constitución)62条(artículo 62)の定めた「義務行為(actos debidos)」なので、国王には拒否することはできないのだ。

だから、これだけ、国民の反対の多い恩赦に、国王が最終署名をさせること自体、国王対する冒涜にはならないのか。これがアジューソの問題提起だ。右派の国民党(PP)の党員らしい懸念だ。

しかし、心配することなかれ。

憲法64条で、国王の責任は免責されるのだ(le exime de toda responsabilidad) 。だから、もし、恩赦を受けた政治家たちが、再びカタルーニャの独立運動をしたとしても、国王には責任はないのだ。

なぜなら、国王は国のトップではあるが、統治はしないからだ(el rey reina pero no gobierna)。だから、国を統治している政府に最終責任があるということにある。

スペインは、立憲君主制を組む日本と似通った問題を抱えている。

写真は現国王フェリペ6世(Felipe Sexto)。