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11/12 ニュースな英語 Canicross:カニクロス

バイクで野山を駆け抜けるモータースポーツを「モトクロス(motocross)」と呼ぶなら、犬(can)と共に野山を走る競技は「カニクロス」ということになる。

今、ヨーロッパを中心に流行っているらしい。

スペイン語では通常、「犬」に「perro」を使うが、「おおいぬ座(Can Mayor)」とか「こいぬ座(Can Menor)」のようにごく限られたケースでのみ「can」が使われる。

カニクロスの発想自体は、まぁ、分かるのだが、初めて見た単語。「ドッグマラソン」という単語もあるらしい。

記事には「マッシング(mushing)」の弟分に当たるウィンタースポーツ(deportes de invierno como 'hermano menor')とある。

むむむ、また、見慣れぬ単語が出てきた。

マッシングは「犬を動力源とするスポーツまたは輸送手段」のことらしい。従って、犬ぞりもマッシングの一種ということになる。

さて、この度、ドイツのライパ(Leipa)でカニクロスの世界大会(Mundial)が開催され、スペイン代表の選手2人(とパートナーの犬2匹)がメダルを獲得した。

女子シニアの部(en categoría Sénior femenina)ではクリスティーナ・フェルナンデス(Cristina Fernández)/愛犬ココ(Coco)ペアが銅メダル(bronce)、また、女子ベテランの部(en la categoría Veteranas)ではオルガ・アルバレス(Olga Álvarez)/ラシャ(Ratxa)ペアが銀メダル(plata)をそれぞれ獲得した。

環境は劇的に変わりました。私がこの競技を始めた時はコーチなんていませんでした。みんな自分の犬だけが頼り。大会を自分で見つけては、自腹で登録して、はい、それでおしまい。でも、この6年でみんながすごく専門知識が増えてきた感じ。信じられないくらいね。レベルもすごく上がりました(Ha cambiado muchísimo. Cuando yo empecé nadie tenía entrenador, era cada uno con su perro, te apuntabas por tu cuenta y ya está. Pero estos últimos seis años la gente se ha profesionalizado muchísimo, hasta puntos inimaginables. Y ha subido muchísimo el nivel)。

競技に参加した人のひとりはこう話す。

街中で見かけるのどかな犬の散歩とは違い、カニクロスでは犬は全力疾走(a una supra velocidad)で、人間一人では出せないスピード(a un ritmo que tú solo no puedes alcanzar)で疾走するんだとか。

カニクロスに出る犬は猟犬(perros de caza)で、犬ぞりを引く北欧種(perros nórdicos)とは違うらしい。

だから、体幹('core')や安定性(estabilidad)、そして、走り方(manera de correr)まで変わってくるという。 

銀メダルを手にしたオルガの言葉を引こう:

犬は人間のアスリート以上の能力を秘めているんですが(El perro es como un atleta más)、ただ、急速に、周りの環境に適応してしまうんです(solo que se aclimata bastante más rápido)。だから、犬にとって、高地の空気が少ないことなど、何てことないんです。人間にはかなりしんどいんですけどね(A ellos no les afecta la altitud como a nosotros en la falta de oxígeno)。

なるほど、適応能力が強すぎるパートナーというのも、困りものだ。

その一方で、気温は大いに影響する(La temperatura les afecta muchísimo)。だから、15度を超える中でのトレーニングは推奨されていない(No se recomienda hacer entrenamientos superiores a 15 grados)という(結構寒い・・・)。

夏はすぐ湖やダムのほとり(cerca de lagos o presas)など、すぐに犬を冷やせる場所を探す必要があるらしい。

人間以上に熱中症(un golpe de calor)にかかって、内臓をやられたり(un colapso de los órganos)、最悪、死に至りかねない(muerte)という。

だから、競技中は厳しい獣医師からのチェックが常に入る(Se pasa un control veterinario bastante estricto)という。

選手たちの犬の誘導の仕方(te hacen mover el animal)を見たり、犬の四肢の関節の触診があったり(le tocan todas las articulaciones)、口腔内を見て(se le mira la boca)、唾液の量をチェックし(las mucosas)、脱水症状が出ていないか(como está hidratado)などを調べる。

競技会場には経験豊富で、優秀な経歴を持った獣医師たちが常勤している(Aquí tenemos veterinarios que tienen una experiencia larga y una buena trayectoria)。

なぜ、そこまでして・・・と軟弱者の小生は思ってしまうが、本人(本犬)たちが楽しければ、それが一番だ。

写真は今大会の覇者ベン・ロビンソン(Ben Robinson)。

これまでの大会公式記録(5キロ;12分35秒)を大幅に塗り替えた(11分56秒)。ロビンソンは異次元のレベル(Está a otro nivel)で、カニクロス界のメッシ(Es el Messi de este deporte)だそうだ。

ちなみに、2000年のシドニーリンピック金メダルのケニア人選手(1500m走)ノア・ヌゲニ(Noah Ngeny)は1分を2分11秒で走った計算だが、ロビンソンやその他のカニクロスの選手らは2分4秒~6秒で走るというのだから、まぁ、すごい(犬も、それに付いて行く人間も)。

出典
https://www.rtve.es/deportes/20231109/canicross-reportaje-olga-alvarez-andoni-isusi/2460317.shtml