12/7 ニュースな英語 Gaslighting:ガスライティング
先月28日、「Gaslighting」が米国の「今年の単語」として選出された。
この語は文字どおりの「ガスによって、明かりをともすこと」を意味するのではなく、実際は「他人の現実の認識を操作する心理的な虐待(maltrato psicológico que manipula la percepción de la realidad de otra persona)」を指す。
日本語の、特に心理学の分野では「ガスライティング」というカタカナでの表記が定着しているようだ(が、小生は知らなかった)。
Gaslightingを今年の単語として選出したのは、辞書で有名なメリアム・ウェブスター社(Merriam Webster)。同社によると、前年度と比べ、今年の検索回数は、1740%増したという。
ガスライティングを長期間受けた「被害者は自らの思考、現実や記憶の認識の正しさに疑問を感じ、混乱をきたし、自信を無くし、自己評価を落とす(a víctima cuestione la validez de sus propios pensamientos, de su percepción de la realidad o de sus recuerdos, y que suele provocar confusión y pérdida de confianza y de autoestima)」という。
立派な虐待である。
ウェブスター社によると、近年では意味が拡大し、フェイクニュース(noticias falsas)とか人工知能(inteligencia artificial)などによって、自らの利益のために他人をひどくあざむく行為(acto de engañar gravemente a alguien para beneficio personal)も指すようになったという。
スペイン語ではそのまま単語を置き換えて、「Luz de gas」というらしいが、小生はまだ使ったことも、活きた文脈で実際に使われている場面にも遭遇したことがない。
なお、Gaslightingは2018年のオックスフォード(Oxford)の辞書でも「今年の単語(Word of the Year 2018)」に選ばれている。
何か世の中が欺まんに満ちていると人々が感じると、この語が流行るのかなぁ。
だとすると、日本でもバズる日は近い!?
ちなみに今現在、noteのハッシュタグで「ガスライティング」は231件。意外とある。
写真はガスライティングの語源となったとされている映画『ガス燈(Gaslight)』(1944年)の一場面。
イングリッド・バーグマン(Ingrid Bergman)演じる女性が、夫に小さいウソの積み重ねによって、次第に追い詰められてゆく。
マインドコントロールによって支配してゆく様がガスライティングの語源になっているようだ。