10/6 ニュースなスペイン語 Presupuestos Generales de Estado para 2023(2):2023年度一般予算(2)
昨日の続き。
記事では、2023年度の一般予算のポイントは次の8つと紹介した:
① 0歳児〜3歳児がいる母親へのチケット
② 失業補償金の改善
③ 年金の増額
④ 生活最低補償金の増額
⑤ 公務員の給与のアップ
⑥ 障がいのある人たちに対する対策費
⑦ 在来線の無料回数券の継続
⑧ 環境対策
①については昨日紹介したので、今回は②〜④をかいつまんで見ておこう。
②は7ヶ月労働状態にあった後、失業(desempleo)した場合、基本給(base reguladora)の60%が保障される。これは、2012年にマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)前政権で、50%に引き下げられて以来の、保障強化となる。30万人が対象(beneficiarios)となる見込み。
③は文字通り、年金を増額する。スペインの年金には、大きく分けて、国から支払われる「pensión contributiva」と自治州から支払われる「pensión no contributiva」がある。前者は日本の公的年金に当たるが、後者は、むむむ、何に当たるか…。まぁ、国も違えば、税収や年金のシステムも違うので、保留にしておこう。後者には、例えば、退職年金(pensión de jubilación)がある。今回は2つのタイプとも対象で、約8.5%の増額の見込み。
④の生活最低補償金は「Ingreso Mínimo Vital」なので、よく、頭文字を取ってIMV などと略される。生活困窮者に対する国の支援金のこと。日本の「○◯自立金」に近い。具体的にどのくらい増額されるか未定だが、現行は以下のとおり支給されている。
・大人1人;子供4人以上の家庭、大人2人;子供3人以上の家庭に対しては月額約1081ユーロ(約15万4000円)
・大人1人;子供1人以上の家庭に対しては月額約639ユーロ(約9万1000円)
さて、今回の予算案に対して、政府は「史上最大の社会保障」と胸をはるが、野党(oposición)の批判はなかなか厳しい。
国会論戦で、最大野党の国民党(PP)の報道官(portavoz)のクカ・ガマラ(Cuca Gamarra)は、今回の予算案を「票勘定そのもの(puro cálculo electoral)」と指摘。
これは、日本で言うところの、「バラマキ」に相当する表現。加えて、
政府はスペイン人の心を買うためにカネが必要(Necesitan el dinero de todos los españoles para comprar voluntades)
と言葉を継ぐ。かなり辛辣。
ペドロ・サンチェス(Pedro Sánchez)首相率いるスペイン社会労働党(PSOE)がじわりじわりと失速しているので、今回の予算案が、いろいろな選挙を見据えたバラマキと捉えられても、まぁ、仕方ない。
残りについては、また、後日、紹介しよう。
写真は予算案を批判する国民党報道官クカ・ガマラ。