12/4 ニュースなスペイン語 Subir los sueldos:給料を上げる
年の瀬も迫ってきたこともあって、「給料を上げる」と聞けば、笑みもこぼれてくるが、以下の文脈だと、どうも眉をひそめたくもなる。
先月末に強烈な寒冷低気圧(DANA)に見舞われ、216名以上が犠牲となり、今もなお4名の行方が分からなくなっているバレンシア州で、同州復興のための新たな議会(nuevo Consell)が発足したのだが、議会が最初に打ち出した対策(la primera medida)が、公務員の給料の上限(tope)を取り払い、新人議員たち(nuevos miembros)の「給料を上げる」ことだったと聞くと、何とも、やるせない気持ちになる。
復興に携わる役人たちの心労は並々ならぬものであろうことは、まぁ、素人でも容易に想像できるし、高給が苦難を乗り越えるモチベーションになるのも人の常。
だから、役人の給与を上げるなとは言わないが…。
ただ、被災地への直接援助を定めた政令の議論が未だペンディングになっている(siguen pendientes del decreto que autoriza las ayudas directas)と聞けば、バレンシア州知事カルロス・マソン(Carlos Mazón)は被災者たち(damnificado)をないがしろ(en segundo plano)にしていると、野党(oposición)から批判されても、まぁ、仕方がない。
議員の給料を上げているのではなく(negar que esté subiendo el sueldo) 、現在のような状況下で人々に尽くす公僕である彼らの報酬を受ける権利が失われないよう(se permite que un funcionario que viene a servir en un momento como el actual no pierda derechos retributivos)にしている――。
マソンは、例の小泉進次郎構文みたいな自論を展開し、未曾有の状況に立ち向かうための例外的な措置(medida excepcional para afrontar una situación excepcional)であると強調した。
ちなみに小泉進次郎構文とは「今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っています」のように、さも深い意味があるような言いっぷりだけど、実は同じことを繰り返しているだけの修辞法(?)のこと。
知事の初動の遅れやその後のもろもろの対応のまずさ故、誰からも信頼されていないのだろう、野党からは「善人面(catadura moral)」と批判の矢面に立たされている。
マソン州政から多大なる恩恵を受けた役人たちのお手並みを拝見しよう。
写真は答弁に望むマソン(11月末に発出されたもの)。