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8/14 ニュースなスペイン語 Teodoro:テオドーロ
「Teodoro」は、ギリシア語の「teo(神)」と「doron(贈り物)」というふたつの語から成る男子の洗礼名。
この度、スペインで生まれた雄のヒツジには、この「神からの贈り物」を意味する「テオドーロ」と名付けられた。
正確には、スペインの研究チーム(un grupo de científicos)が遺伝子を組み換えたヒツジ(cordero modificado genéticamente)を造り出した(ha creado)と報じられている。
スペインでは初の快挙(por primera vez)だそうだ。
テオドーロは遺伝子操作によって、生殖(reproducción)に関わる遺伝子(gen)を取り除かれているので、生殖能力を持たない(infértiles)。
だからこそ、生物が形成されるプロセスの中で、その遺伝子の役割をはっきりと特定できる(conocer de forma inequívoca su función en un proceso biológico)という。
テオドーロが担う役割は大きく、畜産(granja)の現場で問題になっている「生殖の失敗(fallos reproductivos)」の解明だけでなく、ヒトの不妊症の原因にも迫れると期待されている。
テオドーロは「クリスパー・キャスナイン(CRISPR-Cas9」というゲノム編集(edición del genoma)の技術を駆使して創造されたという。
そのテクノロジーの仕組みは、到底、門外漢の小生には分からないのだが、ものすごく簡単に言えば、キャスナインというはさみの役割をする酵素を使って、DNAからターゲットとなる遺伝子を除去する手法らしい。
今までは、クリスパー・キャスナインによってゲノム編集が成功していたのはマウス(ratón)だけだったが、「マウスとそれ以外の哺乳類とは大きく違うため、マウスでは研究できなプロセスがいくつかあるのです(hay algunos procesos que no se pueden investigar a través de ratones modificados genéticamente debido a las grandes diferencias entre ratones y otros mamíferos)」と専門家は話す。
まぁ、いろいろな分野に役に立ちそうなテオドーロではあるが、ある特定の遺伝子の機能を突き止めるために、その遺伝子を取り除いた生物を造り上げるとは、神をも恐れぬ所業(否、「偉業」か・・・)。
写真はテオドーロ(手前)。
ちなみに、今回テオドーロに応用されたクリスパー・キャスナインという技術によって、2020年、フランスとアメリカの研究者たちがノーベル化学賞を共同受賞している。