アルツハイマー認知症の予防 筋肉と脳の関係 第2回
はじめに
鍼灸の施術でアルツハイマー型認知症に対して何かが出来る事があるはずです。その前段階としてアルツハイマー型認知症のメカニズムを調べました。
メカニズムを調べて分かった事は、脳に生体のゴミが長期に渡って蓄積すると認知症は発病する事が分かりました。 アルツハイマー型認知症を引き起こす一番のゴミはタウ蛋白でした。
脳のゴミを排泄を高める(短期の鍼灸療法)
現段階では有効な認知症を改善できる有効な薬と医学療法がありませんが、脳のゴミを有効に排泄できる方法があれば、認知症の改善が見込める可能性が分かりました。
脳のゴミの排泄量を長期的に高める
アルツハイマー型認知症の予防は、20年に渡る持続的な地道な予防が重要であることが分かりました。 長期予防は脳にゴミを溜めない生活習慣です。
具体的な解決策は2023年1月17日のブログ記事の「脳の健康法は南枕が最強 先人の知恵を科学で説明」で説明しました。20年以上の長期に渡り無理なく脳のゴミを排泄量を高める方法です。
(ゴミを排泄を高める方法について補足と修正)
2023年1月30日
20年程の長期間で認知症が作られる
脳内老廃物のアミロイドβとタウ蛋白質は、20年程の長期間を掛けて脳内に少しづつ蓄積します。 そしてアルツハイマー型認知症を引き起こします。
アルツハイマーの本当の原因はタウ蛋白
アルツハイマーは、異性タンパク質のアミロイドβの脳への蓄積と同時に、タウ蛋白が海馬周囲に蓄積します。 アミロイドβは大脳を溶かしますが、それよりも、タウ蛋白が海馬を委縮させて(溶かす)、アルツハイマーである認知症を作っています。
それでタウ蛋白がアルツハイマーの真の原因物質と考えられています。
理由は
アルツハイマーが進行して認知機能が低下したら脳に蓄積したアミロイドβを取り除いても、失われた認知能力が回復しません。
創薬の治験でアミロイドβを取り除く薬の効果が無い事が十分に確認されています。 100戦全敗と言わてれいます。
いったん悪化して認知症まで進行した段階では、アミロイドβを取り除く事は効果がない事が分かっています。 それ以外の薬についても気休め程度の効果しかありませんし、長期的に認知機能を悪化させます。
しかし海馬周囲のタウ蛋白質の蓄積を取り除くと、認知能力が回復することがマウスの実験で分かっています。*1), 2)
現段階では脳のタウ蛋白を取り除く薬はありません。
溶けた脳を回復させる脳神経幹細胞
タウ蛋白質の蓄積の除去についてもう少し説明すると、アルツハイマー型認知症では海馬周囲が大きく損傷しています。 分かり易く言うと脳が溶けて一部が無くなっています。
その溶けた脳の認知機能が回復すると言う事は、新しく脳細胞が再生されたと言う事になります。
海馬周囲のタウ蛋白質の蓄積を取り除くと、人の脳に本来備わっている自然治癒力により脳細胞が再生する事を意味しています。 万能細胞である脳神経幹細胞が海馬の周囲にある事の証明です。
実際に高齢になっても海馬の周囲では毎日500個程の神経幹細胞が生まれています。その神経幹細胞が健やかに育って海馬の脳細胞が再生れて脳の機能が回復する事を意味しています。
脳のゴミであるタウ蛋白が除去できれば、神経幹細胞の力で、自然治癒力で認知症が改善する。 大きな期待が持てます。
今できる事
一度アルツハイマーが進行して深刻な認知症になるとアミロイドβを取り除いても認知能力が回復しません。薬はあるが効果がない。
現在の医療では出来る事がなく、介護だけです。 敢えて言えば筋トレは多少の改善の可能性がありますが、それは厳密には医療ではありません。
脳のタウ蛋白を取り除けは認知機能が回復する可能性がありますが、その薬はありません。
タウ蛋白は単独で蓄積される訳でなく、言ってみればタウ蛋白はアミロイドβによって脳内に作られると考えられます。 そしてタウ蛋白が脳、海馬の萎縮(脳を溶かす)を引き起こします。
20年の長期に渡り脳のゴミの排泄が重要
それでできる事は20年以上の長期に渡るアミロイドβの脳の蓄積を抑えるとタウ蛋白の蓄積も抑える事ができます。
20年の長期間かけて、脳に少しづつゴミが溜まるようなものです。そのゴミの全体量が大きくなると認知症になります。
年齢を重なるに従って脳にゴミが溜まるのでみんな平等にある老化のようなものです。 老化自体は避けられないので、その時期を伸ばす予防策が大切になります。
脳に少しづつアミロイドβというゴミが溜まるのであれば、それを上手く排泄できれば、認知の発病時期を大きく伸ばす事ができます。あるいは発病しないことができます。
脳からのアミロイドβの排泄
まず生理学的背景が、名古屋大学大学院医学研究科量子医学分野教授の長縄 慎二先生の「脳の老廃物排泄機構」のレポートの中で分かり易く説明されております。
以前はネットで読むことが出来ましたが、今は読めません。
そのレポートの内容を本当にザックリとまとめますと(一部表現を使わせて頂いております。)
脳の老廃物排泄機構
1.脳脊髄液からの水が脳内の老廃物を洗い流す
2013年のサイエンス誌にロチェスター大学のMaiken Nedergaard博士がGlymphatic systemという考えの中で提唱されました。
2.脳脊髄液から水が流れだして、脳内の老廃物、例えばアルツハイマー型認知症で脳内に沈着する異性タンパク質であるアミロイドβを静脈側の血管周囲腔に流し出すます。 アミロイドβを洗い流します。
3.睡眠中は間質腔が60%以上広くなり、老廃物の排泄率が高まる。
4.排泄には姿勢や呼吸も関係している。
5.脳脊髄液のその流量はノルアドレナリンによって制御されている。
6.動脈の拍動も大切な因子となる。
上記の5が、重要な点であることは何となく分かりましたが、疑問点も多くありました。 たぶん流量が増えるのがいいと思いましたが、「どうしてノルアドレナリン?」などの疑問が出てきて、しっくりきません。
どうしてノルアドレナリン? 老廃物の排泄率が高まる
それでネットでもう少し調べたり、自分で考えたりして分かりました。
creさんのブログの「科学ニュースの森」 項目:「脳脊髄液」 テーマ:「睡眠による脳の掃除」 2013年10月19日 の記事の中に
これです、水で老廃物を洗い流すので、脳脊髄液の流量は高い方がよいことは直ぐに分かります。 交感神経の刺激で分泌されるノルアドレナリンの分泌量を下げれば細胞の体積が小さくなるので、隙間が広がって脳脊髄液の流量が高まることが分かりました。それと脳の間質腔も広くなることも分かりました。
まとめ
調べて分かった事は、
脳の海馬周囲のタウ蛋白質の蓄積を取り除くと、人の脳に本来備わっている自然治癒力により脳細胞が再生できる可能性が分かりました。それは万能細胞である脳神経幹細胞が海馬の周囲にある事の証明です。
しかしタウ蛋白質を取り除く薬はありません。
また脳内のゴミの排泄が上手くできると、すなわちタウ蛋白質の脳内の蓄積予防するは、認知症を改善できる可能性を感じました。
関連ブログ記事の紹介
脳のゴミを20年以上の長期に渡り、無理なく排泄量を高める方法は、2023年1月17日の note の私のブログ記事で説明しました。
今回の記事の続き
今回の記事の「アルツハイマー認知症の予防」の続きのような関連記事が2つあります。 私の別ブログサイトで発表してあります。 下にタイトルとURLを示しました。そちらをご覧下さい。
タイトル太文字のクリックでもそのURLに飛びます。
2)「アルツハイマー病のアミロイドβがどうして脳に蓄積するか?
脳の老化 第1回」
2023年1月22日
https://jidaisay.kiraracare.com/2023/01/brainaging1.html
3)「アルツハイマー症とカルシウム
老化とカルシウム過剰摂取
脳の老化 第2回」
2023年1月23日
関連ブログの紹介の章節を追加
2023年1月30日
資料
1) アルツハイマー型認知症の病態の回復可能性が実験モデルで明らかに
国立精神・神経医療研究センターの2017年1月31日プレスリリースからの抜粋
記事のオリジンについて
この記事のオリジナルはキララ鍼灸院にあります。その記事を note に転載しました。
オリジナルは話が長すぎて内容が分かりにくい物になっていました。 今回それを整理して小分けにして分かり易くしました。 少しの加筆と編集をしました。
キララ鍼灸院のホームページにあるオリジナルの連続記事は2017年6月に書いたものです。 全部で4章の記事プラス補足記事で作られています。それは2万文字の長い記事で、400文字原稿用紙に換算すると50ページです。 それがホームページでは1ページになっていました。
オリジナルは以下のURLで読めます。https://kiraracare.com/brain_blood.shtml
タイトル画像について
脳とゴミ箱のイラストは「いらすとや」のフリー素材から入手して加工しております。
https://www.irasutoya.com/
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