【政策⑦】金利上昇に伴う、政府の抱える問題点とは?
前回、国債発行が増え続ける中でそれを日銀が市中から買い続け(これを実質的に財政ファイナンス(中央銀行による国債引き受け)とみなす人もいます)、巨額の当座預金があるために利上げができなくなっていることをお示ししました。
今回も、引き続き国債が増えることによる弊害をお話しようと思います。
無視できない問題、国債費の増大
前回日銀が構造的に利上げすることができなくなっているとお話しました。実は、仮に日銀が利上げできたとしても、政府の財政にも問題が生じます。それは国債の利子の支払いが増えることによる国債費の増大が起こることです。
2022年度の日本の予算に占める国債費の割合は107兆円中24兆円で約23%を占めています。36兆円の社会保障費を合わるとこの2つだけで約56%となります。これらは「固定費」と化していて、新規事業はすでに全予算の1%にも満たない状況となっています。これを財政の硬直化と呼びます。
このような中、財務省の試算では、2025年度には仮に1%の利上げがあった場合3兆円、2%では8兆円の利払費が追加で発生すると言われています。
今まで国は、下図のように異次元緩和による低金利で国債費の増加を抑制することができていました。しかし、先日の長期金利の誘導幅拡大に象徴するように、いつ短期金利も引き上げなくてはいけない状況になるか分かりません。
ただでさえ、先程述べた財政の硬直化(固定費の増大により)により、教育や防衛、その他新規事業に使える予算が制約されている中で、これまで以上に国債費の増大が生じると、国民の生活に大きな悪影響が生じる可能性は否定できません。
国債の増加は、今まで何とかなっていたからこれからも大丈夫だ、とか、今までこのレベルまで大丈夫だったから、もっと国債を増やしても大丈夫だろうというものではありません。前述のように起こりうる事態を想定して、それに備え、少しでも国民生活に与えるダメージを削減する努力が不可欠なのです。
ここまで7回を通して、既存の与野党の政策の「場当たり的」や「無責任」な理由を主に財源の不確かさを理由に説明してきました。
それでは、時代革新が唱える政策はどのようなものか?また僕らが作りたい世の中、社会はどのような姿か?をこれからお示ししていきたいと思います。