【年納め】2022年、注目ニュースランキング
2022年ももう残すところあとわずかとなりました。今年も様々な出来事が国内外で発生し、新聞やニュースを賑わせましたね。
みなさんも、一人ひとり色々な出来事があり、また日本や世界の出来事で注目するニュースがあったことだと思います。
そこで、私が勝手に考える今年インパクトのあったニュースをランキング形式でまとめてみました。
あくまで私見ですので、ご意見や質問などありました、お気軽にお尋ねいただけたら幸いです。
第三位:イギリス、トラス首相辞任
トラス前首相は保守党党首選のときから大型減税を公約としており、実際首相就任後に所得税の最高税額の引き下げ、法人税率の引き上げ凍結、銀行員の賞与の上限規制の撤廃などを発表しました。
イギリスも他国同様インフレに苦しんでおり、イングランド中央銀行(BOE)は利上げを進め、中央銀行が保有する資産の売却も発表していたほどでした。
そんな中トラス首相は、さらなるインフレ、そして財政悪化に繋がる減税案を発表したのです。
すると市場はイギリスの今後を懸念し国債価格が急速に下落、市場の混乱を収められなかったトラス首相は辞任に追い込まれました。
これは非常に示唆的なニュースだったと思います。イギリスの対GDP比の政府債務残高は約102%と、日本の約250%と比べはるかに健全な財政状況です。
では日本とイギリスは何が違うのかというと、日本は日銀のイールドカーブ・コントロール政策(YYC)によって、イギリスの債券市場で起きたような債券価格の下落という警告機能が失われている点です。日本では毎年巨額の補正予算を赤字国債を頼りに編成しています。イギリスよりもはるかに悪い財政状況のもとで、日銀の政策により債券市場からの警告機能も失われている。ひずみは日本のほうがはるかに大きいでしょう。そうした将来への懸念、警告、そして警鐘になると考えこちらを第三位のニュースとして選びました。
第二位:安倍元首相、殺害される
今年国内で一番衝撃を与えたニュースは、やはり安倍元首相の殺害事件だったと思います。選挙期間中の遊説での出来事、その後の自民党と統一教会との癒着関係、国葬の賛否問題など、さまざまな問いを日本社会につきつけました。
安倍元首相は、憲政史上最長の3188日と歴代総理大臣の中で最長の在任期間を記録しました。そしてその経済政策であるアベノミクスは、政府が発行する国債を実質的に日銀が引き受ける「財政ファイナンス」と呼べる状態を引き起こしました。狙い通りに日本経済を浮上させることはできず、歳入を公債に頼り財政規律を失わせたのは、「財政ファイナンス」状態を作り出したアベノミクスありきだったのではないかと考えています。
もちろん、安倍氏の功績がないわけではありません。二度に渡る消費税増税を行い社会保障制度を少しでも財源の裏付けがあるものにしようとしたこと、長期政権として安定した外交を行い、日本としては珍しく国際社会で存在感を示すことができたことなどがあると思います。
しかし、私たちはアベノミクスは亡国の政策だったのではないかと考えざるを得ません。
だからこそ、本来であれば、安倍氏は歴史の証人として、アベノミクスが今後日本にもたらすであろう厄災に対し説明責任があったと思っています。その意味で、安倍氏が殺害されてしまったのは、今後の日本にとって非常に大きな損失となりました。
第一位:ロシアによるウクライナ侵攻
今年、世界を揺るがせたニュースは、ロシアによるウクライナ侵攻で間違いないでしょう。
ロシアのプーチンは、冷戦以降の国際秩序を無視し、身勝手な理論でウクライナに侵略を開始しました。どんな理由があろうと、主権国家への一方的な侵略は許されることではありません。
私たちは戦後長らく、平和国家として歩んできました。学校でも「戦争は良くない」「戦争の悲惨な惨禍を繰り返してはならない」と教わってきました。そのこと自体は、間違いないでしょう。しかし、この言葉には前置きがあると思います。それは何か?ーーそれは「(侵略)戦争は良くない」ということです。
過去日本は、満州事変から始まる中国東北部への侵略、その後の日中全面戦争、南部仏印進駐、そして真珠湾攻撃と戦火を拡げました。「満州は日本の生命線」「五族協和、王道楽土」「八紘一宇」「アジア諸国の解放」など身勝手な理論で自己を正当化し、他国に持つ日本の権益を確保し、拡げるため多くの人命を失わせました。また責任の所在を曖昧にし、上層部や軍部の楽観的な判断で戦線を広げ、その結果多くの前途ある若者たちを失いました。心の傷を負った人々は敵味方問わず世界中にいたことでしょう。
みなさん、当時の日本と今のロシアが重なりませんか?
身勝手な、自分に都合のいい理論でウクライナへの侵略を正当化し、ブチャなどウクライナ各地で民間人を含む多数の人々を虐殺し、冬を前にインフラを集中的に攻撃し戦争犯罪を繰り返しています。
また拙速な作戦計画で、短期間にウクライナを占領できると考え、ウクライナの抵抗で結果として多くのロシアの若者の命も失われています。
この戦争で認識しました。「戦争は良くない」のではない、「侵略する側になっての戦争は良くない」のです。
侵略された側は、戦わざるを得ません。そうしなければ、権威主義体制のロシアという国家の支配下に入り、やっと芽生えてきた民主主義を奪われ、民族の存在すら抹消される可能性があるからです。この場合、武器を取り戦うことは正義であり、称賛に値する尊い行為だと確信しています。今なお厳冬下のウクライナで、国のため、民族の独立のため戦い抜いているウクライナの兵士、それを支えるウクライナの人々への敬意を表してやみません。
翻って、今の日本。その立場はどちらに近いでしょうか?
日本がこれから、周辺諸国を侵略するような立場になるでしょうか?
それよりも隣国、中国のほうがよほど今のロシアに近い立場にいるのではないでしょうか?
中国共産党の一党支配の元、「中華民族の偉大なる復興」という国家主義的な理論で拡張傾向を肯定化し、南シナ海や尖閣諸島で敵対的な行動を強めています。
日本も周辺の状況に対応するため、防衛費の大幅な増額を決めました。これは内容や財源に精査が必要かもしれませんが、大きな方向性は正しいと思います。それとともに、私たちは考え方の面でも、民主主義と独立を守り抜くための決意が新たに問われているのではないかと思います。
今回は、ニュースを3つほど取り上げてお話しました。これ以外にも、今年もたくさんのことが起きました。個人レベルでも、国レベルでも、同じ状況がずっと続く世界というのはこの世にはありません。多難な日本の状況だからこそ、それに対応できるよう、常に正確な情報を見聞きし、それに対し自分で考える力を付けたいと思っています。
終わりに、来る年がみなさんにとってよい1年になるよう願っています。