【政策⑫】給付面でみた消費税と、政府への信頼の大切さ
前回、消費税の歴史と、現在の財源としての立ち位置についてお話しました。
今回はまず、消費税でしばしば指摘される逆進性について考えていきたいと思います。
消費税の税率は貧富の差に関わらず同じ
消費税の話で必ず出てくるのが、消費税はお金持ちからもお金がない人からも同様の税率で取られるから、お金がない人にとっては負担が重くなる=逆進性の問題がある。という点です。
たしかに、年収1億円の人でも、年収200万円の人でも、税率は10%で変わりありません。
貧しい人ほど相対的に、食品や生活必需品にかかるお金の割合は高くなるので、その点だけで見ると消費税は逆進性のある税金と言えるかもしれません。
ただ、ここで考えていただきたいのが税金の本質です。
税金の大事な役割の一つ、再分配機能
税金というのは、基本的には国や地方自治体が徴収し、それを必要な経費を差し引き再配分するものです。
とくに、消費税は法律で、その使い道が地方自治と社会保障に限定されています。
つまり、一旦みんなから集めた税金を必要な人に再度配っていると言えるのです。
例えば、高額療養費制度を使った場合、多数回該当の場合の自己負担は下記のようになります。(高額療養費制度は健康保険からも賄われていますが、あくまで一例です。)
この場合、年収5000万円(月収416万円)の人の140100円は0.03%ですが、年収200万円(月収16.6万円)の人の44400円は0.26%です。
負担に対する給付の割合は低所得者で高まります。つまり、税の逆進性は、負担の充実で解消できるのです。
年収5000万円は非現実的で例えとしてはイマイチかもしれません。それでは、もう少し分かりやすい例で言いましょう。例えば消費税率引き上げにより、大学教育の無料化が実現したとします。
学費が100万円の場合、年収1000万円の人にとっては10%の恩恵ですが、年収200万円の人にとっては50%の恩恵となります。
私たちは、消費税の逆進性、つまり取られるときではなく、給付の充実に焦点を置いています。
税というのは国民から徴収され再び分配されます。そのため、使い方次第では大半の人たちの生活を豊かにできます。
安倍政権が生んだ公金への不信感
そのときにいちばん大事なこと、それは、自分ががんばって稼いだお金が、公正に扱われ、公正に分配されているか?という点です。国や地方自治体への信頼がなければ、税金への忌避感が生まれてしまいます。
この点で安倍政権は重い問題を起こしました。それが、森友加計問題です。「おいおい、まだそれを言うのかよ。」と思う人もいるかもしれません。しかし、不透明な公金の使い方や、黒塗りだらけの資料提出、官僚に公文書を改ざんするよう圧力をかけ自殺者まで出したあげく、批判する人を「いつまで騒いでいるんだ」と嘲笑する。このような姿勢は、政府や地方自治体への信頼を今まで以上に失わせてしまいました。
みんな、税金はできれば納めたくありません。手元に残るお金は、多ければ多いに越したことはありません。それでもなお、税金が取られてしまうのであれば、気持ちよく納めたいですよね。
自民党のように利権構造で、お金を自分たちの支持者に多く配っているのではないか?そういう制度を作っているのではないか?と国民に思われるのではなく、自分が納めたお金が、回り回って社会を良くするために使われる。そう思ってもらえるような、清廉で潔白な、信頼される政党が政権を担う必要を強く感じます。
次回以降は、税率を上げた消費税のその使い道、そして私たちの目指す社会について考えてみたいと思います。