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インタビューの導入部分はどうあるべきか_その3_デプスインタビューの場合

過去2回、定性リサーチのインタビューの際の導入(イントロ)についての記事を書いておりまして、

今回もその続きです。

2)デプスインタビューの場合

’デプスインタビュー(In-depth Interview)はお一人の話を深く聞くインタビューです。’ワンオンワン(1 on 1 )インタビュー'とも言います。
(余談ですが、グループインタビューは’グルイン’、デプスインタビューは、’デプス’ や’IDI’、’1on1’などと略します)

デプスの場合も、導入で伝えようとする内容はベースの部分は同じです。
再掲すると:

 1) あなたはあなたのまま、あなたらしくこの場にいることが受容されている
 2) 思ったことをそのまま表現するのがここで求められている
 3) 「いろいろな考えがある」が前提である
 4) みんな違ってみんないい (‘違う’は素晴らしい)
 5) モデレーターの空気感がカジュアルなので、気がラク
 6) どんなことを言っても恥ずかしくない(馬鹿にされない、安全だ)
 7) いろいろな話が出てきて(話せて/聞いてもらえて)楽しそうだ
 8) あなたはこのテーマの専門家としてここにいる(知らないことはないんだ)
 9) あなたは「教える」側だ(自信を持っていこう!)

上記のうち、3)、4)、7)は複数の参加者がいる場合でフィットする傾向が強いかも。

以下、私が普段実施しているイントロを置いてみます。

座談会形式に行う場合もあるのですが、今回は田中さん(仮)と私の1対1というかたちです。
何故かというと、田中さんの育児用品の使い方とかこだわりについてじっくりおうかがいしたいからだと思ってください。
他の参加者の方がいると、発言のタイミングを計ったり、他の方を優先したりしているうちに、本来言おうとしてることがこぼれちゃったりしますよね。
なので今日は他の方に気遣うことなく、田中さんが言いたいことを言いたいタイミングで言えるんだと思っていただいて、ってことは逆に気軽かもってお考えください。
「あ、ちょっと思い出したんですけど」とか「今、関係ないかもしれないけど」みたいなことがあったら、それこそ教えてほしいことなので、ぜひ思いついたタイミングでお話しください。私、ついていきますので。
その後にお話を元に戻したりは全然できますので、安心してどんなことでも言ってください。

そもそもリサーチエージェンシー内、あるいは独立して作られているグループインタビュールームは、基本的に座談会形式で進めることが想定されています。
たいていの場合、ゆったり6人が座れるような直径2mぐらいの大きな丸テーブルがドンとあります。
デプスであったとしてもその会場を使うわけなので、その大きなテーブルに対象者とモデレーター2人が並んで(決して対面ではないです)座ることとなり、空席に目がいきがちなんですよね。
大きなお部屋で、ぽつんと一人で開始時間を待っている間、その空席・余白が緊張感を高めていくことがないとは言えません。
「なんで私一人だけなんだろう?」とか「何で他の人は呼んでないのだろう?」「果たして私で答えらえれるようなことなのか?」「全部答えられるのか?」などなど、必要以上に深読みしたり、考えなくていいことまで考え始めたり。
なので、まずはイントロ部分でその余計な緊張感を解いていくということを最大のミッションにしています。

余談ですが。
「緊張ならさず」と言うと「緊張」という言葉の響きが残ってしまい、より緊張感を高めてしまうので、「気軽に/気楽に」とか「リラックスして」とか「自由に」とかそういうニュアンスが頭に残るように言葉を置いていくようにしています。

そして、この導入部分の目的&ゴールは、グルインの場合と同じく以下となります:

「この世界の歩き方ガイド」に加えて「自分はどんな感じで存在すべきか(トーン&マナーみたいなこと)」をお伝えし、「なるほど、そういうことか。オッケー!」と思ってもらえることを「0.導入」パートのゴールとしています。

ここでしっかり世界観の共有ができていると、次のパートである「自己紹介」がすっと始められるケースが多いです。

ただの「導入(趣旨説明)」とあなどるなかれ。
コミュニケーション、相互作用はもうそこから始まってます。

3回にわたって、かなりニッチなお話をさせて頂きました。
お読み頂き、ありがとうございました。

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