昭和世代と平成世代*箱根駅伝感想
駒澤大学が10区残り2kmで逆転で13年ぶりに優勝した今年の箱根駅伝。いつもとは違った感想が自分の中に湧き上がってきたので書き残しておこうと思います。
駒澤大学といえば大八木監督。現在62歳。出場20校の中でも最高齢の監督。ザ・昭和世代といっていいご年齢です。
最近、昭和世代と平成世代の価値観の違いを学ぶことがあったのですが、
昭和世代:縦のつながりを意識する。時間が経つにつれて世の中がどんどんよくなっていく時代にいたので歳を重ねたら上昇して生活がよくなるのは当たり前のこととして与えられた枠組みのピラミッドを登っていく世代。人生の道筋が明確だから一つの枠組みに入ったらそこから出ようとしない。
平成世代:横のつながりを意識する。バブルが崩壊=昭和の枠組みが崩壊した中で育っているので、枠組みはすぐに壊れて新しくなるという感覚があり上下や蓄積の感覚があまりない。横のゆるいつながりを通して価値観や枠を超えて大勢の人と一体になることができる。
という話でした。昭和世代としては首肯するところ大いにあるのではないでしょうか。
大八木監督と言えば駅伝中の「男だろ!」などの檄が有名です。「汗・涙・努力・根性」を連想させる昭和的な指導をしていそうなイメージ。そんな大八木監督も近年は「だいぶ丸くなった。怒らなくなった」という話が出てきてはいました。それでもなかなか優勝には届かず早13年。監督と学生の年齢差はますます開いていたわけです。一方、他校では監督の若返りが図られていて30代の監督も出てきています。そこには少しでも平成世代の学生たちとのジェネレーションギャップを埋めようという模索が存在しているように思います。
そんな中で出場校最高齢監督が13年ぶりの優勝に導いた。私は「きっと学生との接し方を大きく変えたに違いない」と思い、優勝インタビューを興味津々で見てみました。
すると、
接し方を変えたというよりも自分に甘かったところを見直しました。長い間勝てなくて自分の中にも何となく甘さがでていたことに気が付いた。自分が本気なんだということを見せていくことで、自分への甘さをなくした。
と答えていらっしゃいました。
これを聞いた瞬間、私は「鬼滅の刃だ!煉獄さんだ!」と思いました。
昭和の価値観の大八木監督はきっと(言い方は悪いけれど)何か妥協して平成世代の学生たちに合わせた指導法に変えたに違いないと思っていました。インタビュアーもその答えを引き出したくて質問していたように感じました。
でも大八木監督の答えは違いました。鬼滅の刃的に言えば
「心を燃やせ!」を自ら体現する。
相手を変えよう、相手をコントロールしよう、ではなく自分を変える。自分が変わること、自分の在り方を見せる。自分が光になる。
もちろん「怒らなくなった。褒めるようになった」というコミュニケーションの取り方の変化もベースにあったとは思います。
でもやっぱり「自分がどれだけ本気でいるか。心を燃やせているか」を監督自身が突き詰めた1年だったから、逆転優勝につながる走りを選手たち全員が最後まで貫けたのだろうなと思いました。
ゼネレーションギャップの超え方を1つ見つけた箱根駅伝でした。