②葛藤と選択

妊娠が分かった頃も体調はボロボロで

産婦人科に行くことを
会社の上司に報告すると共に
思い切って連続休暇が欲しい旨を伝えた

上司も以前から
体調が悪いことは知っていたし
おめでたいことだからと快諾してくれた

職場は若い年代の人たちが多く働いていて
ホテル内を一日中歩き回るような仕事内容

新幹線が停まる大きな駅に
隣接したホテルだったので
毎日体力勝負だった

おまけに通勤に1時間強かかる日々

英語を話す環境に身を置きたくて
選んだ仕事だったし
完全燃焼の毎日だったが

高齢での妊娠が分かった瞬間
働き続けたいという気持ちは
自分でも驚くほど薄くなっていた

今まで
ワーキングマザーとして
仕事を選ぶ基準は子育てが第一優先で
自分がやりたいことなど二の次だった

子供の病気や学校行事に寛大で
生活費以外に学費などの
貯金ができる額さえ貰えれば
働く内容なんて何でも良かった

今回のホテル勤務は
給与がどうとかは無視して
英語を日常的に話すという
ずっと越えられなかった壁を越える
自分がチャレンジしたかった仕事だった

実際働いてみて
海外の旅行客と会話し
笑顔で有難うと言ってもらえる日々は
本当にやり甲斐があった

けれども
体調を崩し、妊娠に気づいた時に
心のどこかでホッとした自分もいた

業務量が多く、体力的な面から
この仕事内容で今後ずっと働くことに
少し疑問も持ち始めていた頃で

理想と現実の間で疲れ切っていた自分に
立ち止まるきっかけを与えてくれた
今回の妊娠

人生が脇道に逸れていることを
気付かせるために
神様が教えてくれようとしたのかもしれない

そう思った