管理職受難の時代!?「マネジメントの地図」を作ったので共有します
こんにちは、こがねんです。ファッションテック企業の管理部門で「組織開発」をしています。
「組織開発」とは何でしょう。
これにはいろいろな定義がありますが、僕は「人の集まりが同じ目的に向かって協働するチームになるためのあれやこれやの働きかけ」と考えています。
会社組織であればミッション・ビジョン・全社戦略といった「同じ目的」に向かっていくために「集団(人の集まり)」から「組織(協働するチーム)」になっていく必要があり、そのためにやること全般が「組織開発」ということになります。
「組織開発」は一人ではできないことが多いので仲間を増やしていくことが重要です。
真っ先に仲間になってもらう必要がある人は会社の代表(社長や会長)でしょう。次に役員クラスの理解も重要になります。また人事部や外部コンサルタントが制度や施策面で仲間になってくれていることも重要です。
こうして仲間を増やしながら進めていくわけですが、最終的には組織開発の主体は管理職つまりミドルマネージャーにお渡しすべきだというのが僕の考えです。
組織開発はその組織の中にいる人が自分たちで良い組織になっていくお手伝いなわけですから、最終的には組織開発そのものを組織の責任者にお渡しするのが理想だと思うからです。
とはいえ管理職は忙しい。組織開発なんてよくわからない仕事よりも目の前の業務に追われている人も多い。
だから僕の仕事はまず管理職のマネジメントが健やかに行われていくためのお手伝いをしていくことになります。
ちょっと前置きが長くなりましたが、今日はその「マネジメント」をテーマにした記事です。
そもそも「マネジメント」とは何か
ではその「マネジメント」とは何か、という話から始めたいと思います。
これまた世の中にはいろいろな定義がありますが、一般的には「部下や管掌組織をもち、一定の権限を与えられて、成果を上げること」みたいな表現になるかと思います。
僕も一度、管理職に任命されて、いったん外れて、また任命されて、また外れて、もう一回任命されている人間なのですが(忙しい笑)、いろんな意味でマネジメント経験が豊富なこともあり、その経験則からいくつかの持論を持ち合わせています。
最近発明したフレームだと「マネジメント4階建て理論」なんてものがあったりします。
このツイートにもある通り、マネジメントは部下の理解に始まり、目標管理や人材育成、チームビルディングなども含めて取り組んでいく非常に幅広いものになっています。
それだけでなく管理職には、組織をリードして人と組織のパフォーマンスを引き出すことや・・・
上位レイヤーや他部門との間で起こる調整ごとを引き受けることや・・・
必要に応じて自分も一人のプレイヤーになったりすることが求められ、最終的にはそういったいろいろな取り組みをしながらとにかく「なんとかすること」なんて言われてしまったりします。
「なんとかする」ってどーゆーことやねんと。笑 でもこれが本当にマネジメントというものなんですよね。
「マネジメント迷子」になってませんか?
ここまでのお話でわかるとおり、マネジメントというのは本当に多義的で同時多発的で大変な仕事だよなあ〜管理職の皆様ほんとおつかれさまです!といつも思っています。
マネジメントには「こうすれば正解」っていう方程式みたいなものもないですし、実践の中で失敗しながら学ぶしかないことが多いですし、とはいえ何年失敗し続けてもやっぱりわからないことも多いです。
組織の責任者であり部下の評価者でもありますから、場合によっては「憎まれ役」を買って出る場面も必要になったりします。そして、その割には報酬面で十分応えてもらっていないケースも多々あるのではないかという、そんな役回りです。
さらにさらに加えて2020年は新型コロナウイルスの影響でリモートワークが進んだことから、部下の様子がわかりづらくなり、うまくチームワークできていない組織も増えています。
マネジメントはますます難しくなる一方で、武器は十分に与えられていない。「管理職受難の時代」と言ってもいい時代ですから、この役割を担いたくない若手が増えているのもよくわかります。
既に管理職になっている皆さんも「いまどこにいるのかわからない」「次にどこに進めばいいのかわからない」いわば「マネジメント迷子」になっている人も多いのではないでしょうか。
でも冒頭からお伝えしてる通り組織をよくするレバレッジポイント(てこの力点)は管理職の皆さんですからこの状況を何とかしたい。
では、どうしたら「迷子」にならず自分のマネジメントを磨いていけるだろう?そのために自分にできることは何だろう?そんなことを考え続けてようやく1つの答えにたどり着きました。
それは「迷子」にならないために必要なもの。すなわち「地図」を作ればいいんだ、という気づきでした。
マネジメントには「地図」が必要
マネジメント迷子から抜け出すために必要なもの。それは「地図」。
マネジメントという広大に見える世界をいったんシンプルに一枚絵で表したガイドラインみたいなものがあれば、管理職の皆さんが「現在地」や「目的地」を見失わずにすむのではないかと思ったのです。
それだけでなく、いま自分はどの部分が求められているのか。どこに課題があるのか。次にどんな工夫をすればいいのか。そんなマネジメントスキル向上に向けたヒントが得られるのではないか。そんな風に考えました。
よし「マネジメントの地図」をつくろう!でも、どうやってつくろう?
ここは「マネジメントの父」と呼ばれるドラッガー先生からヒントをもらうことにしました。ドラッガー先生はマネジメントについてこんな風に語っています。
マネジャーには二つの役割がある。第一の役割は、部分の和よりも大きな全体、すなわち投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を創造することである。
(中略)第二の役割は、そのあらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものを調和させていくことである。
-「マネジメント」(P・F・ドラッガー)より
「部分」と「全体」、「短期」と「長期」。これを「調和」させていくのが「マネジメント」だということです。
「調和」とは矛盾することなくまとまっていること。つまり、この一見矛盾する概念を1つに統合していくことこそが「マネジメント」の本質だと受け止めました。
この一点をヒントに「マネジメントマップ」をつくってみることにしました。
これが「マネジメントマップ」だ!
ドラッガー先生の言う「部分」と「全体」の調和、「短期」と「長期」の調和。ミドルマネージャーにとっては「部下」と「経営」、「短期タスク」と「長期タスク」ということになるじゃないかと思いました。
これを絵に表すとこんな4象限のマトリックスになりました。
うん、イイ感じ。
確かにマネジメントとはこの「部下」と「経営」、「短期」と「長期」の間で「なんとかする」仕事っぽいもんなと我ながら納得してしまいました。
さて、空白があると思考が動き出すもので何か埋めたくなります。さて何を埋めていこう。
そうだ、この4つの象限それぞれに「マネジメント対象」となるキーワードをプロットしていこう。
「経営×長期」のゾーンには「ミッション」「ビジョン」「経営戦略」を、「経営×短期」のゾーンには「組織戦略」「組織編制」「組織目標」をプロットしてみました。
同様に「部下×長期」のゾーンには「個人の成長」「キャリアの充実」「自分らしい働き方」を、「部下×短期」のゾーンには「ジョブアサイン」「個人目標」「タスク管理」をプロットしてみました。
うんうん、とってもイイ感じ。
今度はこれらの「マネジメント対象」をしっかりマネジメントするために真ん中にそれに必要な「マネジメントスキル」をプロットしてみることにしました。
「経営×長期」には「ビジョンへの共感」「夢を語る力」「方針提示力」が、「経営×短期」には「戦略立案力」「組織構築力」「仕事を任せる力」が必要と置いてみました。
同様に「部下×長期」には「期待をかける力」「多様性理解」「コーチング」が、「部下×短期」には「目標設定力」「ティーチングスキル」「フィードバックスキル」が必要と置いてみました。
またマネジメントスキルの中心には「誠実さ」「責任感」「リーダーシップ」「観察力」というマネジメントのコアになる在り方、マインド、スキルを置きました。
おお、いいぞいいぞ!なんかできてきた気がする!
さらに「矛盾するこれらの要素を統合する」いわば「なんとかする」のがマネジメントだということなので、それもここに反映したいと思いました。
そうか、じゃあそれぞれの領域を独立させてちゃダメで、これらを接続して融合して「なんとかする」という絵にしなければ。
じゃあ、各象限を矢印でつないじゃおう。ということで最終的には・・・
こんな感じになりました!おおおお!イイ感じ!
長期と短期。経営と部下。この各領域に存在するマネジメント要素を常に見渡し、必要なマインド・スキルを発揮しながら、互いに矛盾するように見える要件を繋いで高度にバランスをとっていく。これこそまさに「マネジメント」というものの本質じゃないかと思いました。
「マネジメントマップ」を自分のものにするために
いかがでしたでしょうか。「マネジメントマップ」は何かしらのヒントになりそうでしょうか。
この「地図」が皆さんのマネジメントの良きヒントになればいいなーと思う一方で、本当の意味で皆さんがマネジメントを自分のものにするためにおすすめの方法もお伝えしておきます。
それは皆さんのお手元でも「自分が思うマネジメントマップを作ってみる」ということです。
僕自身もこの「マネジメントマップ」を作る過程であれやこれや考える過程でこれまでの経験則を組み合わせながら持論が整理されていったので、このプロセスを経験すること自体を是非おすすめしたいなと思います。
「マネジメントはセンスではなくスキル」と言われます。誰でも努力によって磨くことができる技術だということです。
また「マネジメントはポータブルなスキル」とも言われます。身につけたら持ち運びができるので、所属部門や所属企業が変わっても活かし続けられるスキルということです。
僕自身もマネジメントを通じて学んだこと、取り組めた仕事、残せた実績がありますし、当時は苦しかったことも振り返れば全ては「経験という名の資源」を配分してもらえたんだなと思っています。
ぜひ一人でも多くの人にマネジメントに取り組んでいただきたいですし、皆さんのマネジメントが良きものになりますように心よりお祈りしたいと思います。
この記事が2020年最後のnote記事となります。
皆様、本年も大変お世話になりました。また来年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ぜひ良いお年をお迎えください。
それでは、また。