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「働く」に対する思考のブロック

週5日を耐え忍んで働き、休みの日に好きなことをする。

この文章がさらりと「まあそうだよね」と受け取れるとしたら、きっと大きなバイアスが、わたし達にかかっているのだろうなと思う。

仕事は大変なもの。我慢が必要なもの。だからこそ、その対価としてお金が払われるもの。そんなバイアス。

たしかにそういう側面もある。働いていれば大変なこともあるし、我慢が必要な場面もある。でも同時に仕事は楽しいものであり、わくわくすることであり、休日まで待たずとも毎日おもしろみを感じられるものであったって良いのだ。

というか、人生の大きな部分を占める「働く」が、楽しくないものだと辛くないだろうか。堪え性のないわたしは、楽しくないことを毎日続けるのは難しいかもしれない。

「楽しいことでお金をもらうのは、なんだか忍びない」
「好きなことだけしたいから利益は追わない、赤字でも良い」

わたしがブランド運営をしているからか、結構いろんな人から「好きなこととお金の話」の相談を受けるのだけど、こういう思考が話の中にちらりと見え隠れする時がある。

「仕事=何かを我慢してお金をもらうもの」という認知が強いと、どうしても自分が楽しいことで対価を得るのは悪いことをしているような気持ちになるのも当然だし、「お金を得ること」と「好きなことの活動」を分けたくなるのもわかる。

そういえば、フリーライターをしていた頃、わたしもまったく同じことを思っていたのだった。

ライター業は「文章を書くのは苦じゃない」というところから始めた仕事で、よく勘違いされるのだけど、わたしは「書くのが好きだから仕事にしたい」と思って業界に入ったわけではない。

ライターという仕事は、書く記事のジャンルにもよるけれど、なかなか我慢や忍耐が必要な作業も多い。当たり前だけれど、自分が思ったまま100%を書ける仕事はほとんどないし(クライアントの意向が第一だ)、時には大きく編集が入って、自分の意思に反するような文章になってしまうこともある。

たくさんの記事を書いている内に「書くの楽しいかも」と思い始めていたわたしは、我慢が必要な執筆活動を生活の糧にする中で、「もっと自由に好きなように書きたい」と感じるようになった。でも「好きなように書くこと」を仕事にする術はわからなかった。というか、当時はまだ「仕事=我慢が必要なもの」だと思っていたので、好きなように楽しく書くのは仕事以外が良いのだろうと考えていた。

それで始めたのが、当時のブログである。好きなように書き散らし、誰に何を言われることもなく、自由に書く場所を得た。

そしてブログを始めてしばらくすると、不思議なことが起こる。ブログを書くことが仕事になるようになったのだ。広告収入が発生したり、こっちのブログに至っては書籍化されたりした。

あれ? 自分の好きなようにやっても、楽しいことばかりやっても、仕事になったりするんだ……!?

この経験は「仕事=我慢が必要なもの」だと思い込んでいたわたしにとっては革命で。つまりは、自分のやり方次第で、楽しいことや好きなことをちゃんと仕事にすることが可能なのだ、という新しい扉が開いた瞬間だった。

今のわたしはむしろ「自分が楽しいと思うことが誰かの役に立って、それが生業になるのが健やか」だと思うようになった。

楽しく働くこと。好きなことで誰かの日々をちょっと良くすること。それがちゃんと生業になること。それが健全な営みなのではないか、と。

もちろん仕事をする中で、大変なこともあるし、じっくり我慢が必要な場面もある。嫌なことがなくなるわけでもない。ただ大半を占めるのは「楽しい」の感情。楽しむために働くのだというスタンス。

「楽しいことだけで、生きていくだけのお金を稼げるわけがない」と思う人もいるかもしれないけど、本当にいろいろ試行錯誤していたとしたら、その発想は出てこないと思う。

だって世の中を見てみてよ。
楽しそうに働いている人、たくさんいるじゃない?

わたしはまだまだ試行錯誤中だけれど、一応いまは、好きなものをつくって、好きだなと思える人たちと一緒に楽しむことが、生業になっている。まだ専業になってからは3年目なので、これからどうなるかは未知数だけれど、今後も工夫して「健やかな生業」を続けていけたらと思ってる。

自分の中にある思い込みや、思考のブロックみたいなものを、時折疑ってみること。

週5日を耐え忍んで働き、休みの日に好きなことをする。

冒頭に書いた一文、もちろんこの生き方だって悪くない。時と場合によっては、一番良い選択だってこともある。

でも、それ以外の世界もあるんだよ、と伝えられたら嬉しいなと思ってる。


おわり


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じぶんジカン松岡
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