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妥協したり信念を曲げたりするのが嫌だったんだ

チームで仕事をすることに、苦手意識があった。

人のペースに合わせるのが苦手。自分の美学や信念を曲げて妥協するのも苦しい。また、誰かと一緒に仕事をすることで、自分と他人を比べて落ち込んでしまう自分も嫌だった。

だから、ひとりで仕事ができる働き方を選んだ。

もちろん「誰かと一緒に仕事をする」を100%避けることは難しい。けれど、自分のペースを守れる環境を、自分だけの道を進める生き方を、意識的に選んできた。

でも最近、ちょっと考え方が変わった。

きっかけとなったのは、じぶんジカンの新作ノートを、古性のちさんとつくり始めたことだ。

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古性のちさんと紙選びをする様子)

のちさんとのノートづくりは、ふわふわと舞っていた蝶が自分の肩にとまるように、突然ふわりと、でもあたかも「そうなることが決まっていた」かのような必然性を感じながらスタートした。

最初の打ち合わせから、「こうなったらいいな」「ああしたいな」とぽんぽんアイディアが出てきて、あっという間に中身もスケジュールも決まった。

のちさんが持っているアイディアと、じぶんジカンのコンセプトとノートづくりの土壌を掛け合わせることが、とても自然なことに思えた。

「誰かと一緒に何かをつくる」という経験は、これまでに何度もしてきた。

特にフリーライターとして請け負うクライアントワークにおいては、クライアントがつくりあげる「何か」に、文章を書くという側面から携わることも多かった。

人と一緒に仕事をするのが苦手なわたしは、なるべく楽しく仕事ができる相手からのみ、仕事を引き受けるようにしていたのだけど、それでもやはりどこかで、妥協やあきらめが必要なことがほとんどだ。それは、もはや人と一緒に何かをつくる上で、仕方のないことだと思っていた。

でも今回、新作ノートをのちさんと一緒につくってみて、驚いた。

今すでに入稿がおわり、あとは刷り上がった紙が届いたら製本…という段階なのだけど、ここまで一切、自分のなかで妥協をしなくてすんだのだ。

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(ノートの中身の校正時の様子)

これはたぶん、のちさんの人当たりの良さとものづくりへの姿勢が、とても大きいと思う。

じぶんジカンのわたしや夫が気になることを、ひとつずつ丁寧に確認してくれる。もちろん、のちさんが譲れない部分も、ちゃんと伝えてくれる。

そしてお互いに納得をした上で、ものづくりを進めていく。

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「納得」

それを、わたしは仕事をする上でとても大切にしているんだなあと、今回はじめてちゃんと気づいた。

わたしは、納得したかったんだ。

逆に、納得できないものはつくりたくなかったんだ。

そう考えてみると、これまでの違和感のすべてに合点がいった気がした。

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ちなみにせっかくだから、ここまでのちさんと一緒にノートづくりを進めてきて感じたことを、書き残しておこうと思う。

のちさんは、びっくりするほど「人の気をゆるめる」のがうまい。うまいというか、それはもはや技術ではなくて、のちさんが持つ「気」のようなものかもしれない。

わたしは初対面の人と話すとき、とても緊張してしまう。だからライターとして取材をしていたときは、取材前に胃が痛くなったり、取材後に体調が悪くなったりするのが日常茶飯事だった。それぐらい、身体が強張ってしまうのだ。

そんなわけで、のちさんとはじめて話すときも、画面越しとはいえ緊張していた……のだけど、二言三言話したところで、わたしの肩の力は抜けていた。それはのちさんの「ゆるやかな気」に飲み込まれたから、だと思う。

そして、ノートづくりをしている中で何より感じたのは、ディレクションのすごさ。

「ディレクションのすごさ」と聞いて、多くの人は「テキパキと仕事をこなす様」や「瞬時に対応する力」もしくは「ビジョンをもって進めること」なんかをイメージするかもしれない。

たしかにのちさんは、それらのすごさも持っている。でも、わたしがここで言いたい「ディレクションのすごさ」は、ちょっと違う。

なんというか、ディレクションがやわらかいのだ。

そのやわらかさゆえ、何も摩擦が生まれず、するすると、でもしっかりと進んでいくのだ。

ものづくりにおいて、終始制作がスムーズに行くことは、ほとんどないと思う。今回も、わたしの伝達漏れで迷惑をかけたり(ごめんなさい!)、印刷会社さんから細かなNGが出て再入稿になったりした。

でも、何か修正事項や調整点が発生しても、摩擦がうまれなかった(と、わたしは感じた)。

摩擦。つまり、嫌な気持ちになったり、不協和音が流れたり、誰かが妥協せざるを得なかったりするときの、そんな一瞬の綻びのような。

そんなことがありながらも、きちんと納得しながら、むしろ気持ち良くまとめながら進められたのは、ひとえにのちさんの「ディレクションのすごさ」だと思う。

…って、あんまり書きすぎると、のちさんがとても「すごい人」に見えてしまいそうなのだけど(いやすごい人だと思うのだけど)、実物ののちさんはちゃんと人間らしい感じがして、わたしはそこがとても良いなと思っています。

***

話をもとに戻す。

わたしは今回のノートづくりのおかげで、「誰かと一緒に仕事をすることが苦手」なのではなくて「納得できないまま仕事をするのが嫌」なのだと気づけて、とても良かったなあと思ってる。

それは今回、一緒にノートづくりをすることを提案してくれたのちさんのおかげ。

そんなこんなで、のちさんとわたし達が全力で、納得しながら、大切につくってきたノート。もうすぐカタチになりそうです。

6月ごろには発売したいなと思って進めています。おたのしみに。

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(新作ノートの紙選びの様子)

おわり
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「じぶんジカン」は、自分と向き合う時間をつくるノート達を販売しています。

毎週火曜&土曜に発送します。自分を見つめるきっかけに、ぜひ。




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じぶんジカン松岡
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